コゲイロカイガラタケおよびその近似種に関する研究(第XI報) : コゲイロカイガラタケ, ヒロハノキカイガラタケ, キチリメンタケおよびキカイガラタケに及ぼす硫酸銅の影響

概要

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コゲイロカイガラタケ及びその近似種の菌糸の発育並びにスギ侵害に対する硫酸銅の影響を知るために, コゲイロカイガラタケ, ヒロハノキカイガラタケ, キチリメンタケ及びキカイガラタケの4種の外, 比較としてワタグサレタケ及びヒイロタケを使用して実験した結果, 寒天培養基上における硫酸銅の発育阻止濃度は, コゲイロカイガラタケでは0.3%, ヒロハノキカイガラタケ及びキカイガラタケ0.4%, キチリメンタケ及びヒイロタケ0.5%, ワタグサレタケ0.7%であつた。コゲイロカイガラタケ及びその近似種並びにワタグサレタケは蓚酸を集積し, 蓚酸分泌菌とみなされたが, ヒイロタケのみは蓚酸を集積しなかつた。スギ素材は供試菌の侵害に対して極めて弱かつたが, BOUCHERIE法によつて硫酸銅を注入したスギ材は耐朽力に富み, 90日後にも全然腐朽しないか, 腐朽しても極めて軽微であつた。しかし溶脱操作を行つた場合には, 薬液が流失して, 90日後には可なりの腐朽を示した。
一般社団法人日本森林学会の論文
1957-05-25