コゲイロカイガラタケおよびその近似種に関する研究 (第XVII報) : コゲイロカイガラタケ, ヒロハノキカイガラタケ, キチリメンタケおよびキカイガラタケの胞子の発芽に関する2,3の実験(2)

概要

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コゲイロカイガラタケ, ヒロハノキカイガラタケ, キチリメンタケ及びキカイガラタケの胞子の発芽と日光および湿度との関係並びに胞子の生存力と温湿度との関係を知るため2,3の実験を行つたが, これらの菌の胞子は直射日光によつて明らかに発芽を阻害され, 10分間の直射で既に発芽率の低下を来し, 4時間連続的に照射せられると胞子の発芽は極度に悪くなつた。光線の強弱の影響を実験室内の散光の下で実験した結果, 暗区における胞子の発芽は明区のそれよりも良く, 胞子は散光によつても発芽を阻害せられることが明らかとなつた。空気湿度と発芽との関係を検した結果では湿度95%で各菌とも良く発芽したが, 湿度が低下するにつれ発芽率は急激に低下した。各菌の発芽に対する限界低湿度は70〜80%の間にあるものと思われる。次に, 胞子の生存力と温湿度の関係については, 20℃で湿度10%に保存した胞子は150日後にも僅少ながら生存力を有し, 発芽したが, 湿度93%では100日後に生存力を失つて発芽しなかつた。30℃では湿度9%に保存したものでもコゲイロカイガラタケおよびキチリメンタケは60日後に生存力を失い, 湿度93%では各菌とも20〜40日後に死滅した。即ち胞子の生存力は低温低湿の下で長期間保持せられるが, 高温高湿の下では急速に失われるようである。
一般社団法人日本森林学会の論文
1958-11-25

著者

水本晋
静岡県林業試験場

コゲイロカイガラタケおよびその近似種に関する研究 (第XVII報) : コゲイロカイガラタケ, ヒロハノキカイガラタケ, キチリメンタケおよびキカイガラタケの胞子の発芽に関する2,3の実験(2)

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