マツノマダラカミキリ成虫の摂食行動に関連するマツの樹皮成分(I) : 小容器内における生物試験と咬みつき因子の二, 三の性質
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
新たに羽化脱出したマツノマダラカミキリ成虫に対するマツの樹皮中の摂食誘起因子について検討した。生物試験法として, 円形または矩形のプラスチック容器に, 抽出物を含浸した濾紙とコントロール濾紙とを置き, 成虫を入れて48時間あるいはそれ以上放置し, 咬み痕を観察する方法を採用した。1)クロマツ針葉と枝樹皮の水抽出物についての比較では, 後者の方に著しい咬み痕があり, さらに当年枝, 1年枝樹皮の間では後者により強い咬み痕を認めた。2)アカマツ当年, 1年, 2年枝樹皮および樹幹樹皮の熱水抽出物から得たメタノール転溶物では, 上と同様1年枝樹皮抽出物に最も咬み痕が強く, 当年枝, 2年枝および樹幹樹皮はこれより少なかった。3)アカマツ当年, 1年枝樹皮の熱水抽出物について網室内の生物試験を行なったところ, 小容器内試験と同様咬みつき行動が観察された。4)咬みつきおよび摂食継続因子成分の大部分は, 水, アセトン, メタノールに易溶, ベンゼン, n-ヘキサンに難溶または不溶であった。またペーパークロマトグラムの生物試験の結果から, これら活性成分はかなり極性のある物質と推定した。5)摂食誘起の活性成分は, 水蒸気蒸留で留出しない。6)カラムクロマトに生物試験を併用した結果, 樹皮中のこれら生物活性成分には, 少なくとも3種類あると考えた。
- 日本森林学会の論文
- 1974-07-25
著者
-
宮崎 信
農林省林業試験場
-
山口 彰
農林省林業試験場
-
尾田 勝夫
農林省林業試験場
-
山根 明臣
農林省林業試験場
-
遠田 暢男
農林省林業試験場
-
山根 明臣
日本大学生物資源科学部
-
尾田 勝夫
林業試験場
-
山根 明臣
林業試験場:(現)東京大学農学部
関連論文
- Molecular evidence for phylogeny and the termite host specificity of exoparasitic fungi, Termitaria spp. (Termitariales : Deuteromycetes), from Japan
- マツノマダラカミキリ蛹の呼吸気に含まれる炭酸ガスとマツノザイセンチュウの行動
- マツノザイセンチュウの炭酸ガスに対する行動
- マツノザイセンチュウの不飽和脂肪酸に対する行動
- マツノマダラカミキリ蛹壁における脂肪酸の蓄積
- マツノマダラカミキリ成虫の摂食行動に関連するマツの樹皮成分(I) : 小容器内における生物試験と咬みつき因子の二, 三の性質
- 針葉樹種子の生長抑制物質 : コウヤマキ種子に含まれるSciadin
- 57 サイクロヘキセンオキサイドを助剤とするセミカルバゾン及びオキシムの一製法
- 36 トドマツバルサムの精油成分(補遺)
- 35 硫酸刺戟法により得られるエゾマツ樹脂の精油成分
- 東京大学秩父演習林における冬期のカモシカ Capricornis crispus およびシカ Cervus nippon の分布
- 神奈川県逗子市におけるクリハラリスCallosciurus erythraeusの食性
- クサギカメムシによるキリてんぐ巣病ファイトプラズマの媒介試験(第7回大会ポスター発表要旨)
- 群馬県水上町における3時間ごと6日間の訪花性カミキリムシの捕獲消長
- 落葉広葉樹林カミキリムシ相のモニタリングにおける誘引器の捕獲性
- シラホシゾウ属(Shirahoshizo spp.)3種の餌木をめぐる比較生態学的研究(I)
- 座談会 松くい虫から松を守ろう(5)マツを守りつづけるその課題と展望を語る
- 「座談会」松くい虫から松を守ろう(4)マツを守る防除技術を語る
- 「座談会」松くい虫から松を守ろう(3)安城市,豊中市「赤松を守る会」長瀞のマツ枯れ対策を語る
- 「座談会」松くい虫から松を守ろう(2)吹上浜,吹上浜海浜公園 松島のマツ枯れ対策を語る
- 「座談会」松くい虫から松を守ろう(1)松枯れの原因マツ材線虫病の発見
- 松くい虫被害の現状,対策とその効果 (特集 マツ枯れ原因諸説をめぐって)
- マツ伐倒木揮発成分のマツノマダラカミキリに対する誘引性
- エタノールおよびパラコート処理を施した松樹のマツノマダラカミキリ等に対する誘引効果(II) : 各処理木に飛来した昆虫類
- エタノールおよびパラコート処理を施した松樹のマツノマダラカミキリ等に対する誘引効果(I) : マツノマダラカミキリに対する誘引効果とマツ林分の枯損動態
- トチノキヒメヨコバイがトチノキの早期変色・落葉に及ぼす影響 : 薬剤散布による早期変色防止効果(一般講演(口頭発表),第8回大会講演要旨)
- G220 カブトムシ幼虫の多糖類消化酵素系について(生理生化学 寄主選択・耐虫性)
- 719. 穿孔虫類の食性について : (5)穿孔虫類とカブトムシおよびマツカレハ幼虫の炭水化物加水分解酵素の比較(第76回日本林学会大会講演要旨)
- 野外網室におけるマツノマダラカミキリ成虫の死亡経過
- 低温処理によるスギカミキリ成虫の休眠打破
- トチノキヒメヨコバイの生態とトチノキの葉の早期変色・落葉(一般講演(口頭発表),第5回大会講演要旨)
- 秩父演習林におけるキクイムシ類捕獲個体数記録
- Mating behavior of the pine sawyer, Monochamus saltuarius (Coleoptera : Cerambycidae)
- Nutrient intake in the third instar larvae of Anomala cuprea and Protaetia orientalis submarmorea (Coleoptera: Scarabaeidae) from a mixture of cow dung and wood chips: Results from stable isotope analyses of nitrogen and carbon
- H125 マツノマダラカミキリのエステラーゼアイソザイムパターンの地理的変異(分類学)
- マツノマダラカミキリの生活と行動
- 140 Ambrosia beetles の local distribution に関する研究(昭和35年度日本農学会大会分科会)
- Performances of Four Chemicals with Floral Scents as Attractants for Longicorn Beetles (Coleoptera: Cerambycidae) in a Broadleaved Forest
- 化学処理を施した松樹のマツノマダラカミキリに対する誘引効果
- 535 マツ類の穿孔虫に関する研究 : 高周波式立木水分計によるマツ立木の測定について(第77回日本林学会大会講演要旨)
- 534 マツ類の穿孔虫に関する研究 : 穿孔虫の産卵加害の対象木についての一考察(第77回日本林学会大会講演要旨)
- トチノキヒメヨコバイの生活史(第7回大会ポスター発表要旨)
- B105 窒素・炭素安定同位体比測定による牛糞と本材チップの混合物を餌としたドウガネブイブイ・シロテンハナムダリの3齢幼虫の飼育における幼虫の食物摂取の解析(有用昆虫・昆虫機能利用・畜産・衛生・家屋害虫・脊髄動物・他)
- 寒冷地マツ林において黒色誘引器によって捕獲されたカミキリムシの群集解析
- 牛糞と木材チップの混合物を餌とした2種コガネムシ科幼虫の成長量の比較
- 屋外網室におけるマツノマダラカミキリ成虫からのマツノザイセンチュウの昼夜別離脱数と,異なる温度・日周条件下での線虫離脱数と残存線虫数(第8回大会ポスター発表要旨)
- A206 マツノマダラカミキリ成虫は揮発性性フェロモンを本当に持つのか : (2)Kim et al.(1992)の追試(動物行動学 行動生態学)
- マツノザイセンチュウのマツノマダラカミキリからの離脱に関わる明暗条件(第7回大会ポスター発表要旨)
- マツノザイセンチュウのマツノマダラカミキリ虫体上の移動と離脱の温度条件(一般講演(口頭発表),第6回大会講演要旨)
- D206 カラフトヒゲナガカミキリ成虫による後食樹種の違いが体重変化におよぼす影響(生態学)
- A206 窒素・炭素安定同位体比測定による牛糞と木材チップの混合物を餌としたドウガネブイブイ・シロテンハナムグリ2〜3齢幼虫のチップのパーティクルサイズの違いによる摂取物内容の測定(発生予察・被害解析・飼育法・栄養学)
- フィリピン共和国ヌエバ・エシハ州パンタバンガン草地における森林造成地の虫害調査
- マツノマダラカミキリMonochamus alternatus HOPEに誘引活性を有する松生丸太の揮発物質
- 342 マツノマダラカミキリの誘引 : 伐倒生丸太の揮発成分
- マツノマダラカミキリの生活と行動(第8回森林動物シンポジウム)(松くい虫をめぐる諸問題)
- ○Ambrosia beetle(Trypodendron)の丸太への寄生とDouglas-fir辺材のデンプンとの関係
- ○揮発性誘引物質に対するDendroctonus pseudotsugae HOPKINSの反応
- ○Bark beetleの誘引物質をテストする新しい方法
- 731. 穿孔虫類の食性について(第4報) : カミキリムシの一種(Afalimna litruta?)の幼虫の消化酵素(第75回日本林学会大会講演要旨)
- 217. 穿孔虫類の食性について(第3報) : カミキリムシの一種(Afalimna litruta ?)の幼虫の炭水化物加水分解酵素(第74回日本林学会大会講演要旨)
- 216. 穿孔虫類の食性について(第2報) : ニセマツノシラホシゾウムシ(Shirahoshizo rufescens)幼虫の(Roelafs)炭水化物加水分解酵素(第74回日本林学会大会講演要旨)
- Evaluation of Beetle Capture in Traps as Compared with Manual Capture on Flowers in a Long-term Investigation in a Beech Forest
- 大会運営準備を中心に (第16回ユフロ世界大会)
- 321. マツカレハの越冬期における死因について(保護)(第68回日本林学会大会)
- 305. ヒメコガネ幼虫に対する冬期の土地条件とくに低温の影響
- 線虫感染松木のマツノマダラカミキリに対する誘引性発現
- コウモリガ幼虫期の頭幅成長
- 訃報 在りし日の遠田暢男さんを偲んで
- 人間と森林とのかかわりを中心に (特集 平成13年度森林・林業白書) -- (森林・林業白書を読んで)
- あの山はどうなった-5-ていねい植え
- 松くい虫をはじめとする森林病害虫の被害とその対応の歴史
- 林業教育問題の検討中間報告(林業教育を考える)
- ○Douglas-fir beetleの自然制因子の一つとしての種内競争について
- ○放射性コバルトでラベルしたwhite pine weevil Pissodes strobi (PECK), の成虫の成存
- 東京大学秩父演習林における冬期のカモシカCapricornis crispusおよびシカCervus nipponの分布