サクラてんぐ巣病菌(Taphrina wiesneri(RATH.)MIX)の培養性質
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概要
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1) 供試した7種の培地のうち分生胞子の増殖には, ジャガイモせん汁, 酵母液および斉藤氏しょう油培地がすぐれ, CZAPEK, RICHARDS培地は劣った。サクラ葉せん汁での増殖は不良であったが, 2%ブドウ糖の加用により著しく良好となった。2)本菌は, 0〜2℃から25℃の範囲で増殖し, 適温は15〜25℃にある。3)ジャガイモせん汁と斉藤氏しょう油培地での増殖曲線は, 2日目で著しく上昇し, 7日目までさらに上昇した。しかしそれ以後50日目までの増殖曲線はほぼ平衡状態のまま水平に推移した。4)培地のpHとの関係では, pH2.5ではほとんど増殖せず, pH3.2〜8.0の範囲で増殖し, 酸性側で良く, アルカリ側で劣る傾向がみられた。5)オオシマザクラ葉せん汁液でのショ糖とブドウ糖の含量との関係では, 0〜10%の範囲で, 量が増すと増殖する傾向がみられ, この傾向はブドウ糖で強く現れた。6)供試した無機, 有機の窒素化合物ではいずれも増殖がみられたが, 特にKNO_3とCO(NH_2)_2が良く, またアミノ酸類では, l-arginine, l-glutamineおよびl-asparagineで増殖が良好であった。7)炭素源との関係では, 供試したいずれの炭素源でも増殖した。しかしmaltoseでの増殖はやや劣った。8)サクラとリンゴ葉せん汁では, サクラの種類による増殖の差は認められず, オオシマザクラ葉せん汁を除いてはこれに2%のブドウ糖を加用しても増殖量に変化がなかった。
- 日本森林学会の論文
- 1974-05-25
著者
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