ヒノキ黒粒葉枯病菌の生理的性質
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概要
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ヒノキ黒粒葉枯病菌(Chloroscypha chamaecyparidis)の子のう胞子は高温下(15〜30℃)では短期間で多数, 低温下(5℃)では少数ずつ長期間にわたって放出される。また, 100%RHで放出が著しく, 94%RH以下ではまづたく放出されない。100%RH条件下での発芽適温は10〜20℃と比較的低温側にある。発芽可能なpH範囲はpH3〜10とかなり広い。菌叢の発育は天然培地で良好, 合成培地では劣る。菌叢の発育適温は20〜25℃であり, 子のう胞子の発芽適温より高めに位置する。菌叢の発育におよぼすpHの影響は, pH7〜9のアルカリ側で良好である。子のう胞子の発芽管上に分生子を形成する。発芽管上での分生子の形成は, 近縁種のスギ黒粒葉枯病菌(Chloroscypha seaveri)ときわだった違いをみせる重要な特徴である。ヒノキ針葉にはC. chamaecyparidisの他にC. seaveriも寄生する。しかも両菌の形態が類似しているため, 同定が困難な場合があるが, 胞子の形態的特徴とあわせて分生子形成という生理的性質を加味することで両菌の区別がいっそう容易になる。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1990-07-01
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