低温下における雪腐病菌による針葉樹稚苗の地中腐敗型立枯病(1)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
秋まきのスギ, トドマツなどの不発芽種子からRhacodium therryanum THUEMなどの雪腐病菌が多量に分離された。ゆえにこの菌の地中腐敗型立枯病の病原としての検討を行ない, さらに薬剤による種子消毒の防除効果についても試験を行なった。また数種の雪腐病菌ないしは低温型の病原菌の病原性をもたしかめた。1)スギ種子に対して0℃と23℃で, Rhacodium therryanumの接種試験を行ない, 0℃においてだけ地中腐敗型立枯病をおこすことがたしかめられた。またBotrytis cinerea, Rhizoctonia solani(低温型の系統)などの雪腐病菌および低温型病原菌のCylindrocarpon sp.の接種試験をも行なった。その結果からやはり0℃でだけ病原性を現わした。2)スギとアカマツ種子に対して, 0℃でSclerotinia kitajimanaを接種して, アカマツでは地中腐敗の発生がみとめられたが, スギではみとめられなかった。3)R.therryanumの2菌株を用いて, スギ, アカマツおよびトドマツ種子に接種した。その結果トドマツでははげしい地中腐敗をおこし, アカマツではわずかおかされ, スギではこれらの中間であった。4)アカマツ種子に傷を与えて, R.therryanumを接種したところ, はなはだしく被害を増大した。5)スギの湿潤貯蔵越冬種子に対してR.therryanumを接種し, いちじるしい地中腐敗をおこした。この防除には, チウラム剤(ポマゾール・エフ)の2%の粉衣処理の効果が顕著であった。以上の結果から各種の雪腐病菌およびCylindrocarpon sp.は秋まき種子の地中腐敗の病原となることが明らかにされ, とくにR.therryanumは重要な病原菌であると考えられる。
- 日本森林学会の論文
- 1964-05-25
著者
関連論文
- サクラてんぐ巣病の病枝切除と薬剤による防除試験
- サクラてんぐ巣病菌(Taphrina wiesneri(RATH.)MIX)の培養性質
- (7) Taphrina wiesneri (Rath.) Mixの生活史と病原性 (東北部会講演要旨)
- 樹病学総論, 赤井重恭著, 182ぺージ, 75図(写真51,図24), 105表, 出版社 : 養賢堂, 東京, 1970年4月発行, 定価680円。
- (7) 苗床にすき込んだ緑肥残渣における立枯病菌の腐生生活 (昭和41年度地域部会講演要旨(東北部会))
- 低温下における雪腐病菌による針葉樹稚苗の地中腐敗型立枯病(1)
- 707. 針葉樹稚苗の立枯病発生と土壌のpHとの関係(第75回日本林学会大会講演要旨)
- 308. ダグラスファーの先枯病(第74回日本林学会大会講演要旨)
- 510.針葉樹苗の雪腐れをおこす新病害くもの巣病と黄カビ病(第72回日本林学会大会)
- 針葉樹苗の雪腐病に関する研究(第71回日本林学会大会)
- アカマツとカラマツの春まきの時期と立枯病の発生との関係
- Rosellinia herpotrichioides HEPTING et DAVIDSONのエゾマツ苗 : 雪腐病病原としての検討(第2報)
- 717. 秋田地方に発生するスギのおもな枝枯病類3種(予報)
- Rosellinia herpotrichioides HEPTING et. DAVIDSONのエゾマツ苗 雪腐病病原としての検討(第1報)
- 針葉樹苗の根雪前における被覆と雪腐病の発生との関係
- クロボクに対する石灰と堆肥の旋用がカラマツ苗の立枯病発生におよぼす影響
- 仮植スギ苗の雪腐病防除
- 424. カラマツ落葉病菌の生活史(第67回日本林学大会プログラム)
- 423. スギ苗の雪腐病の発生と苗の硬化との関係(第67回日本林学大会プログラム)
- 612.マツ類種子の発芽促進による地中腐敗の回避効果(第65回日本林学会大会)
- (14) カスガマイシンによるスギ苗の薬害 (昭和53年度地域部会講演要旨(東北部会))
- (13) アカマツ稚苗の暗所栽培による立枯病の検診 (昭和51年度地域部会講演要旨(東北部会))
- (3) Rhizina inflata (Schaeff. )Karst. の生態 (東北部会講演要旨)
- (4) 土壌のpHが針葉樹苗の立枯病発生に及ぼす影響 (東北部会講演要旨)
- (8) カラマツ先枯病の発生と気温との関係 (昭和43年度地域部会講演要旨(東北部会))
- (7) 苗床に施用したオガ屑堆肥とオガ屑における立枯病菌の腐生 (昭和43年度地域部会講演要旨(東北部会))
- 533 カラマツ先枯病と落葉病の病原菌の生活史 : とくに野外における子のう胞子の飛散と菌糸の生存期間(S)(第78回日本林学会大会)
- (8) Cylindrocladium scoparium Morganによるアカマツ苗のすそくびれ型立枯病 (昭和41年度地域部会講演要旨(東北部会))
- 東北地方のスギ、アカマツおよびカラマツ種子産地試験地における病害の発生状態
- 821. Cylindrocladium scoparium 菌に関する2、3の実験(第76回日本林学会大会講演要旨)
- 804. 竜ヶ森における気象条件とカラマツ先枯病の発生(予報)(第76回日本林学会大会講演要旨)
- 708. カラマツ先枯病の発生と気象条件 : とくに気温と降雨量について(第75回日本林学会大会講演要旨)
- 518.カラマツ属各種の落葉病と先枯病にたいする耐病性(第72回日本林学会大会)
- (11) Fusarium lateritium (Nees) Snyd. et HIans. の 2・3 の form について (昭和35年度地域部会講演要旨(冬季関東部会)
- 611.マツ類稚苗の立枯病の発生と床土の固さとの関係(第65回日本林学会大会)
- MH-30によるスギ苗の秋伸び抑制効果 : 特に霜害と灰色黴病の防除について
- 407. 火山灰土壤に対する容土と病害との関係(第63回日本林学会大会講演要旨)
- 308. ヤシヤブシ苗の立枯病と褐斑病の防除
- 314. キリ種子の発芽に及ぼすウスプルンとαナフタリン醋酸の影響(第64回日本林学会大会)(ON THE 64 th MEETING OF THE JAPANESE FORESTRY SOCIETY)
- ニセアカシア種子の消毒と発芽促進