ホオノキ立木の樹皮からのCO_2放出量の日変化

概要

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1970年夏から'71年夏まで, 晴天の日に野外で, ホオノキ立木の幹および枝について, 樹皮表面からのCO_2放出量の日変化を調べた。日変化は温度とほぼ平行した経過をたどるが, 夏の日中には温度の上昇にもかかわらず, CO_2放出量がふえなかったり, ときには低下する, いわゆる日中低下がしばしばみられた(Fig.1,3)。明け方の安定したCO_2放出量, 温度, および切断材料で求めたQ_<10>(20〜40℃)=2から, 期待されるCO_2放出量の日変化を推定し, 実測値と比べて各測定日の日中低下量を計算した(Table 1)。晴天が続くと日中低下が著しくなる(Fig.4)が, 摘葉処理で蒸散を制限すると低下はめだたなくなる(Fig.2,3)。このことから, 日中低下と樹体内の水分不足との関係が考えられるが, この点を含め低下の原因を明らかにするには, 多くの実験が必要である。CO_2放出量は, 測定時の温度差と, 組織の活動状態のちがいに基づくと考えられる季節変化を示す。呼吸量からみると幹の組織の活動は, 夏を中心にした時期に盛んで, 10月末の落葉のころからしだいにとまり, 真冬から芽が開くまでは, 著しく衰える(Fig.5)。
日本森林学会の論文
1972-08-25