アカマツほか針葉樹メバエの光合成・呼吸速度
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概要
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針葉樹6種のメバエについて,発芽後しばらくのあいだの光合成能力・暗呼吸速度の変化,温度と光合成速度の関係を計測した。しらべた樹種はアカマツが主で,ほかにクロマツ,スギ,ヒノキ,カラマツ,トドマツもとりあげた。アカマツメバエの光合成能力は,子葉のさきに,まだ外種皮がついている段階ではマイナスまたは0にちかいが,上胚軸の生長とともに急増,もっとも高い期間が数週間続いたあと,徐々に低下する。主として子葉をつけたメバエの光合成能力は主として針葉をつけた1年生苗にくらべて,きわめて高い。暗呼吸速度は,はじめいちじるしく高いが,光合成能力急増の時期に急減したのち安定する。アカマツメバエの光合成の最適温度は20℃付近,最高温度は40℃付近で,1年生苗にくらべるとみかけの光合成速度がプラスの温度域がせまい。メバエは温度変化のはげしい地表面ちかくに生育するので,子葉の高い光合成能力が自然条件下の光合成生産に,どの程度いかされるかは不明である。温度と光合成速度の関係について1年生苗でみられた樹種差が,メバエでも同じように存在する。アカマツにくらべスギやヒノキのメバエの光合成速度のほうが,温度依存の傾向がつよい。Changes in photosynthetic capacity and dark respiration rate with growth, and relations between apparent photosynthesis rate and temperature were studied in current year seedlings of six conifer species. The measurements during a period shortly after seed germination were made mainly in Pinus densiflora, and additionally in Pinus thunbergii, Cryptomeria japonica, Chamaecyparis obtusa, Larix kaempferi and Abies sachalinensis. The photosynthetic capacity of the Pinus densiflora seedlings began to be measurable at about the time the cotyledons emerged from seed coats. With cotyledon expansion and epicotyl elongation the capacity increased rapidly until it levelled off at a higher rate for several weeks, and decreased gradually thereafter. The photosynthetic capacity of the current year seedlings attaching mainly cotyledons was much higher than that of the 1-year-old seedlings attaching mainly needle leaves. The dark respiration rate was higher during cotyledon expansion, decreased with increasing photosynthetic capacity, and then remained stable. The response of photosynthesis rate to temperature was sensitive in current year seedlings as compared with in 1-year-old ones. The seedlings shortly after seed germination grow near the soil surface where temperature conditions fluctuate considerably and are often very severe. And, a higher photosynthetic capacity of cotyledons may be not result directly in a higher photosynthetic production under the field conditions. The temperature dependence of photosynthesis rate in current year seedlings was more remarkable in Cryptomeria japonica and Chamaecyparis obtusa than in Pinus densiflora. The same difference among the species was observed in 1-year-old seedlings.
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