カラマツ根株心腐病の菌系におけるアロザイム変異と遺伝子型の平面分布
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概要
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筑波大学演習林のカラマツ人工林において,カラマツ根株心腐病菌の一種である未同定担子菌Basidiomycete-1の捕捉試験を実施した。川上演習林の一般試験区(0.98ha)と特定試験区(各100m^2),ならびに八ヶ岳演習林の特定試験区(0.225ha)において,カラマツ捕捉杭を土壌中約20cmに打ち込んで配置した。1年経過後,杭に付着した菌糸束を分離・培養し104菌株を得た。これらの菌糸を用いて,ポリアクリルアミドゲル垂直平板電気泳動をした結果,5酵素種のバンドパターンは2倍体の表現型を示すことがわかった。このバンドパターンをもとに6遺伝子座の遺伝子型を推定し,各試験区におけるアロザイム変異と遺伝子型の水平分布を明らかにした。川上・八ヶ岳演習林でそれぞれ18種類と7種類の多数遺伝子座の遺伝子型を観察した。特定試験区における菌株の遺伝子型の平面分布では,同一遺伝子型の菌株が集団状に出現したが,異なった遺伝子型の菌株が集団状に出現する場合もあった。本菌では子実体の形成がみられないため,この遺伝的変異は菌糸融合等により生じたことが推測された。
- 1995-09-01
著者
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