カラマツ高齢林における心腐病(I) : 富士山麓におけるカラマツ根株心腐病の被害実態と環境要因
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概要
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カラマツ高齢林における根株心腐病について富士山麓にて調査した。初めに84本の根株心腐病罹病木を用い、根元腐朽直径、腐朽高および腐朽体積の関係について調査し、次の関係式を得た。腐朽高=0,388+6.90×根元腐朽直径、腐朽体積=-1.90×10^<-3>+0.848×根元腐朽断面積。被害実態について23カ所のカラマツ高齢林伐倒跡地を調査した。その結果、罹病率は平均23.4%(範囲3.6〜61.0%)であった。上述した関係式を用い、計測した根元腐朽直径から根株腐朽体積を計算した。根株腐朽体積は調査木100本の合計で、平均0.898m^3(範囲0.135〜2.294m^3)であった病原菌分離の結果、この地域ではカイメンタケが主に被害を与えていることが明らかとなった。環境要因では、樹齢と傾斜度が根株心腐病の被害に影響を与えていた(腐朽体積=-1.02+0.0292×樹齢、腐朽体積=2.12-0,169×傾斜度)。土壌条件もまた被害に影響すると思われた。これらは長伐期施業を行ったカラマツ高齢林の被害の把握に役立つと思われる。
- 1994-01-01
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