乱流変動法を用いたヒノキ林のエネルギー収支と蒸発散特性
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概要
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乱流変動法をヒノキ林に適用して潜熱, 顕熱, 運動量輸送量の直接測定を行った。これらの測定値とエネルギー収支式から群落の残差項を見積もると, 最大で純放射量の30%以上の値となることもあった。この残差項は, 主として移流熱輸送量からなると推定された。樹冠上で測定した輸送量とPENMAN-MONTEITH式から, 空気力学抵抗んと群落抵抗ηの日変化を求めたところ, イギリスのマツ林, 日本のヒノキ林で得られた値とほぼ同様の傾向を示した。r_aと運動量輸送量τの間に良い相関関係が認められ, r_aは直接測定したτのみから推定することができた。r_a, r_c, r_iなどの輸送抵抗と蒸発散効率の関係から, 潜熱輸送量が日没にかけて緩やかに減少するのは蒸発散効率の増加によることが示された。この蒸発散効率の増加は, 森林の空気力学的抵抗が耕地作物などの植生高の低い群落に比べて小さいことに起因している。
- 日本森林学会の論文
- 1992-05-01
著者
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