ノンブロッキング型動的負荷分散を用いた並列ガーベージコレクション方式
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概要
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本発表では,ノンブロッキング型ワークスtーリング法に基づく動的負荷分散機構の実装について報告する.本機構は我々の実装した並列ガーベージコレクション(GC)の中核となるものである.ワークスチーリング法に基づく動的負荷分散方式とは,並列処理をワークと呼ばれる部分処理に分割し,実行スレッドは各々のワークキューに処理待ちのワークを保持する.ワーク割付けの均等化は,実行するべきワークが不足したスレッドが自律的に他のスレッドのワークキューからワークを奪うものである.本方式では,スチール操作を含む,キューの排他操作が性能面で支配的になる.さらに,キュー操作をOSの提供するロックを用いて実装するならば,ロックの競合や遅延などにより大幅な性能劣化が生じる場合がある.AroraらのDequeアルゴリズムは,スチール操作をアトミック命令を用いてノンブロッキング化したものであり,実行スレッドは自らのワークキューからのワークの取出しはつねに定数時間で完了することができるという長所を持つ.他方,1回のスチール操作でたかだが1つのワークしか横取りできないという短所を持つ.Hendlerらは,これを1回のスチール操作で最大半分のワークを相手先から横取り可能とする拡張を提案している.ただし,スチール操作は横取りするワーク量に比例した実行時間を必要とする.我々は,Aroraらの方式を基礎とし,1回のスチール操作で一定数のワークを定数時間で横取りする方式を提案する.本発表では,これら3つの方式を比較し,並列GCにおける性能を示す.
- 2005-01-15
著者
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