アズキ落葉病菌の土壌からの選択分離培地と土壌中での菌密度
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概要
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アズキ落葉病菌の罹病組織からの分離培地は報告されているが, 土壌からの選択分離培地は明らかにされていないので検討した。本菌の菌糸生育, コロニー形成は炭素源として, ガラクトース, 窒素源としてペプトンが良好であったので, これに硫酸マグネシウム, リン酸一カリウムを加えたものを基本培地とした。多くの抗菌性物質の中から, PCNB, ホウ酸ナトリウム, コール酸ナトリウム, 塩酸テトラサイクリン, 硫酸ストレプトマイシンが本菌の生育を高濃度においても阻害しなかった。これら5種の物質を基本培地に加えて選択培地とした。その組成は蒸留水1lに寒天20g, ガラクトース5g, ペプトン5g, リン酸一カリウム1g, 硫酸マグネシウム0.5g, PCNB 0.5g, ホウ酸ナトリウム0.5g, コール酸ナトリウム0.5g, 塩酸テトラサイクリン0.05g, 硫酸ストレプトマイシン0.2gを加え, pHを5.5に調整したものである。殺菌あるいは無殺菌上に既知濃度の胞子懸濁液を接種後, 本培地を用いて土壌希釈平板法によりその回収率を求めたところ上記培地がもっとも高かった。又, 各地発病畑の自然土壌から本菌の分離を本培地を用いて行ったところ, 発病指数と菌量との間に高い相関が認められた。さらに発病畑土壌の懸濁液と, それを10μmのミリポアフィルターを通した濾液中の菌量とを本選択培地を用いて比較した。処理懸濁液中の菌量の約60%が濾液から検出された。この結果より本菌は3か月以上は土壌中で遊離胞子の形態で生存しているものと認められる。
- 日本植物病理学会の論文
- 1981-01-25
著者
-
田中 文夫
北海道立中央農試
-
田中 文夫
道立十勝農試
-
近藤 則夫
北海道大学農学部
-
小林 喜六
北海道大学農学部
-
小林 喜六
北海道大学農学部博物館
-
近藤 則夫
北海道大学 農学研究院
-
宇井 格生
北海道大学農学部
-
田中 文夫
北海道立中央農業試験場
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