Acidovorax属の生菌およびその菌体成分によるイネ褐条病の病斑形成の抑制
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概要
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Acidovorax属植物病原細菌2種3亜種13菌株を供試し, それらの病原性をイネを含む5種の植物に対して調査した。つぎに, 各菌株の生菌あるいは菌体成分がイネ褐条病細菌の病斑伸展を抑制する活性について調査し, その活性とイネに対する病原性との関係を解析した。その結果, 2種3亜種は供試植物に対する病原性の有無で明瞭に区別され, イネ褐条病細菌3株とトウモロコシ褐条病細菌MAFF 302183株をイネ親和性菌, 残りの9株を非親和性菌と判定した。A. avenae MAFF 301505株(イネ褐条病細菌)の細菌懸濁液に非親和性菌9株あるいは親和性菌であるがMAFF 301505株に対する抗菌物質を生産するMAFF 302183株の各生菌をそれぞれ混合して接種すると, イネ褐条病細菌単独で接種した場合と比較して明らかに病斑の伸展が抑制された。また, MAFF 301505株に各菌株から得た菌体成分(CE)を混合して接種すると, 各菌株の親和性とは無関係に病斑の伸展を抑制する場合と抑制しない場合とに二分され, 病斑の伸展を抑制したCEにはすべて抗菌物質が含まれていた。つぎに, 非親和性菌9株の生菌を前接種すると, その6時間後に二次接種したMAFF 301505株が形成する病斑の伸展は抑制された。一方, CEを前接種すると, すべての菌株のCEが二次接種菌の病斑の伸展を抑制したが, その抑制程度は非親和性菌のCEが親和性菌のCEに比べて強かった。供試菌株の生菌はMAFF 301576株を除いてタバコ過敏感反応を誘導したが, CEは誘導しなかった。したがって, CE中にはイネ体に前接種することによりイネ褐条病細菌の病斑形成を抑制するがタバコ過敏感反応は誘導しない物質が含まれていることが示唆される。また, 親和性菌から得たCEと非親和性菌から得たCEの病斑形成を抑制する活性の違いは本細菌の親和性に関係すると推測できる。
- 日本植物病理学会の論文
- 1998-10-25
著者
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