コウゾ焼枯細菌病の病原細菌 Pseudomonas syringae pv. broussonetiae pv.
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概要
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鳥取県青谷町五本松の山林野開柘地に1974年から栽植された約20haの和紙生産用コウゾ栽培団地において, 1978年頃から葉, 新梢に壊死病斑を生じ, 株枯れも起こす新病害が発生し始め, 1980年には罹病株率が80%となり収穫皆無の状態になった。主な病徴は葉におけるハローを伴った黒褐色の壊死斑点・黄化落葉, 新梢の葉柄およびえき芽基部の壊死斑・折損・枝枯れ, 株枯れであり, 5〜8月に顕著に認められた. これらの病徴から本病をコウゾ焼枯細菌病(英名Bacterial blight of paper mulberry)と命名した。病原細菌は, 細菌学的性質からPseudomonas syringaeに属することが判明したので, クワ科植物に病原性を示すクワ縮葉細菌病菌Pseudomonas syringae pv. mori(Boyer and Lambert 1893) Young, Dye and Wilkie 1978およびタイマの細菌病菌(本邦未発生) pv. cannabina (Sutic and Dowson1959) Young, Dye and Wilkie1978と細菌学的性質および病原性(宿主範囲)について比較検討した。その結果, 本病原細菌と他の二つの pathovarは細菌学的性質ではゼラチン溶解およびアンモニア産生を除きほぼ類似していたが, 宿主範囲では明瞭な差異が確認された. すなわち, 各菌株はそれぞれの宿主植物のみに病原性を示し, 本病原細菌はヒメコウゾ(Broussonetia kazinoki),コウゾ(B.kazinoki × B. papyrifera)およびカジノキ(B. papyrifera)の葉身, 新梢に感染し, 自然発病と同様の壊死病徴を引き起こしたが, カラヤマグワ(Morus alba)には全く感染しなかった。また, 同病原細菌は1983年に福井県, 1985年に茨城県のコウゾの罹病葉からも分離された。以上の結果から, コウゾ焼枯細菌病菌をR.syringaeの新しいPathovarとみなし, Pseudomonas syringae pv. broussonetiae (pathotype strain Koz 8101, MAFF 810036)と命名することを提案した。
- 日本植物病理学会の論文
- 1996-02-25
著者
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