高信頼同報バルク転送機構(<特集>並列処理)
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概要
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コンピュータネットワークを介して同一の情報を多数の受信者に効率良く配布する機構として, 高信頼同報バルク転送機構RMTP (Reliable Multicast Transport Protocol)を設計し, 評価する.本論文では, 適用例から要求条件を整理した結果, 数千から数万端末への数10MBのバルクデータの一斉同報配布, TCPと同程度の転送信頼性, 送信サーバによる到着確認, 情報秘匿や送受信者認証などの要求条件を得た.それを満たす同報再送機構を設計し, 応答の送信サーバへの集中(応答爆発)を抑制するためのNackコーディングとバックオフによる応答遅延を検討する.RMTPの転送性能を評価するため, RMTPの再送方式に関する城下のモデルを用いてパケット損失率から再送回数, 再送されるパケット数や端末数を推定し, この値を元にバックオフ時間の設定と転送性能の評価手順を示す.たとえばバケット損失率が1%の場合, 5000端末に対する2MBの転送について, 5回の再送で収束し, そのときの各再送段階における転送パケット数, 応答パケット数を推定できる.この値はバックオフ設計の基本データとなる.さらに, スター状とトリー状の2つのネットワーク構成例について応答爆発を推進しバックオフを含む総転送時間を解析した結果, スター状構成では並列の1対1通信に比べてRMTPでは転送時間が余分な再送とバックオフにより2.6倍に長くなる一方, トリー状構成では転送時間が1/200となり, その中でバックオフによる性能劣化は14%となるなどの推定ができ, 再送やバックオフの設計に役立つことが分かった.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1998-06-15
著者
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城下 輝治
Ntt情報流通プラットフォーム研究所
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高橋 修
株式会社NTTドコモマルチメディア研究所
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佐野 哲央
NTT情報流通プラットフォーム研究所
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山内 長承
日本IBM東京基礎研究所
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高橋 修
NTT情報通信研究所
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高橋 修
はこだて未来大学システム情報科学部
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高橋 修
公立はこだて未来大 システム情報科学
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