整数線形計画法を用いたDNAコンピュータ制御コードの生成
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概要
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本論文ではANP-96というDNA計算の実験を自動的に行うロボットに対する,整数線形計画法を用いたコード生成について述べる.ANP-96はプレートを置く8個のテーブル,プレートにさまざまな処理を行うIMUと呼ばれる装置,プレートを移動するロボットアーム等から成り立ち,与えられたプログラムに従って複数の実験操作を並列に実行することができる.DNA計算の実験操作は種々の制約のもとで実行され時間もかかるので,複数の実験操作を自動的かつ効率的に実行することは重要である.一方で,現在のANP-96のプログラミング環境は,実験に本質的ではない低レベルな記述を必要とするため多くの手間を必要とし,誤ったプログラムにはロボットを破壊する危険もある.特に,プログラマは有限のテーブルを無駄なく割り当てるとともに,温度制御等の時間のかかる命令を効率良くスケジューリングしなければならない.我々は以上のようなプログラミングを自動化するために,テーブルのアロケーションと命令のスケジューリングを含む問題を,ANP-96に依存しない一般的な抽象度で記述する枠組みを開発するとともに,その枠組みに基づく制御コード生成系を実装した.特に,この枠組みでは,各操作におけるリソースの受け渡しに問する記述を簡潔に表現することができる.また,上述の問題に対する最適な解を与える手法として,コンパイラの分野で提案された整数線形計画法による手法を利用した.この手法は処理時間が長く,したがって小規模のプログラムにしか適用できないのが欠点であるが,ANP-96においては,一般にプログラムは比較的小規模であり,その実行回数とコストを考慮すると,時間をかけて最適化する価値がある.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 2004-07-15
著者
-
萩谷 昌己
東京大学情報理工学系研究科コンピュータ科学専攻
-
萩谷 昌己
東京大学
-
萩谷 昌己
京都大学数理解析研究所
-
萩谷 昌己
東京大学大学院理学系研究科
-
阿部 正佳
東京大学情報理工学系研究科
-
萩谷 昌己
東京大学情報理工学系研究科
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