乳児湿疹の消長と季節の影響 : 1年に亘る保健所の4ヵ月, 10ヵ月乳児健診の結果
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概要
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【背景・目的】乳児湿疹の住民健診を1年以内に2度おこない, 相互の関連を調べた研究は見あたらないので, これをおこなった. 【方法】大阪府立藤井寺保健所が月2回おこなった4ヵ月健診に1990年9月から1991年8月までの1年にわたりアトピー性皮膚炎のエキスパート皮膚科医1人が参加した. 6ヵ月遅れの同じ乳児の10ヵ月健診に際しても同医師がこれを繰り返した. 全身の皮膚を観察し, 独自の調査票を用いて皮膚症状と掻破痕を評価し, その合計で湿疹の有無を判定した. 湿疹の程度は, 1. 受診不要, 2. 要受診, 3. 要治療の3群に分けた. 各種データは独自のソフトを用いてDEC-7000コンピュータで分析した. 【結果】保健所管轄の人口181994人における1年の健診期間の新生児1775人のうち, 4ヵ月健診には1493人が, 10ヵ月健診には1264人が出席した. 年平均でみると4ヵ月健診では22.0%, 10ヵ月では21.2%に湿疹が認められた. 両方の健診に出席した1264人のうち4ヵ月で22.8%に認められた湿疹のうち10ヵ月まで湿疹が続いたのは9.7%のみで, 13.1%では湿疹がなくなっていた. しかし11.5%に新たに湿疹が生じていた. 4ヵ月と10ヵ月の累積診断率は34.3%に達した. 湿疹の程度は4ヵ月の方が10ヵ月よりも有意に強かった. 月別の診断数は, 両健診ともに期待値との比較で, 4ヵ月健診では2月に有意に高く(OR 1.84, p=0.031), 8月に有意に低かった(OR 0.21, p<0.001). 10ヵ月健診でも2月に有意に高く(OR 2.19, p=0.02), 8月に有意に低かった(OR 0.36, p=0.015). 【結語】生後1年以内の乳児湿疹の皮膚症状は加齢により変化しやすく, また季節の影響を受けやすいと考えられる.
- 日本アレルギー学会の論文
- 2005-05-30
著者
-
青木 敏之
大阪皮膚科医会
-
青木 敏之
あおきクリニック・かゆみ研究所
-
笹井 康典
大阪府健康増進課
-
山田 一郎
小杉記念病院
-
吹角 隆之
医療法人美咲会ふくずみアレルギー科
-
古林 榮次郎
大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター情報企画室
-
金森 忍
大阪府赤十字血液センター
-
青木 敏之
あおきクリニック
-
笹井 康典
大阪府健康福祉部地域保健福祉室
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