ベンガル湾およびシャム湾に産するマルオカブトガニCarcinoscormus rotundicaudaにみられる形態的変異
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概要
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マルオカブトガニCarcinoscorpius rotundicaudaについて,ベンガル湾およびシャム湾のそれぞれ最奥部に位置するインド西ベンガル州のものと,タイバンセンのものとを比較してみたところ,両者の開には,かなり顕著な差異のあることがわかった。すなわち,1)前者は黒昧がかった緑色であるのに対し,後者は茶色がかっている。2)全長および各部分の測定値は何れも前者の方が大きい。3)前者の腹部後側縁部は背腹両方に膨らんでいるのに対し,後者のその部分は少なくとも背面では平面的であり,そのためこの部分の背復の厚さは,前者が後者に比べて極めて厚い。4)前者の縁突起marginal 薄い鋸歯状を呈している。5)前者の縁棘marginal seinesは全般的に短かく,側方ヘの突出が顕著でないのに対し,後者のそれは良くて,突出が顕著である。6)雄の把捉器clasping organは前者のものでは黒褐色でたくましく,鋏chelaを閉じた場合にもすき間ができるが,後背のそれは黄色みがかって弱々しく,鋏にすき間は出来ないか出来てもごくわずかである。マレー半島のベンガル流出に位置するタイ国プケット産のものでは尾州の長さが著しく長いことを除けば,全体的には上記両地域産のものの中間的形質を示し,むしろバンセン産に近いことがわかった。既報のように,ズナミカブトガニフTachypleus gigasにおいては,西ベンガル州産のものが,バンセン産に比して小さいが,本種においては,その関係が逆になっていることは興味深い。
- 1978-12-15
著者
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