Polymerase Chain Reaction法による子宮頚部擦過細胞におけるHPV16型, 18型DNA検出 : HPV検出キットVira Pap^<TM>法との比較検討
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概要
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子宮頚部各種病変43例 (慢性頚管炎12例, 軽度異形成7例, 中等度異形成3例, 高度異形成3例, 上皮内癌11例, 浸潤癌7例) の擦過細胞より得たDNAを用いて, Polymerase Chain Reaction (PCR)法より, HPV16型,18型初期遺伝子E7領域の増幅検出を行つた. 一方, 同一症例に対し, HPV簡易検出キット Vira Pap^<TM> (dot blot)法も併用し, 以下の成績を得た. 1) PCR法による検索では, HPV16型, 18型DNAが検出されたものは43例中25例 (58.1%)であつた. 組織型との比較においては, 異型性が強くなるにつれて検出率の上昇を認め, 上皮内癌では11例中9例, 浸潤癌では7例全例にHPV DNAが検出された. HPV16型と18型のタイプ別では, 16型陽性が16例 (37.2%), 18型陽性が8例 (18.6%), 16型, 18型ともに陽性が1例(2.3%)で, 16型の陽性率のほうが高かつた. 2) HPV検出キット Vira Pap^<TM> (dotblot)法による検索では, 43例中25例 (58.1%)に HPV DNA が検出された. そして, HPV DNAが陰性であつた18例に対しPCR法を行つた結果, 1例に16型, 4例に18型, 1例に16型及び18型が検出され, PCR法においてHPV16型と18型のより高い検出率が得られた. 3) PCR法により慢性頚管炎12例中1例(8.3%)に18型DNAが検出され, HPV感染症例の中で異常所見を示さない症例の存在が確認された. 以上, PCR法による子宮頚部擦過細胞を用いたHPV16型, 18型初期遺伝子E7領域のDNA検出から, 子宮頚癌とHPV感染との関連性がより強く示唆された. また, PCR法は微量なDNAを検出でき, 比較的短時間での多数の検体処理が可能であることから, 今後マススクリーニングを含めたHPV感染のDNA診断への応用が期待された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1991-09-01
著者
-
永井 宣隆
広島大学医学部産科婦人科学教室
-
藤原 篤
広島大学医学部産科婦人科学教室
-
太田 さなえ
広島大学医学部産科婦人科学教室
-
藤原 篤
厚生連尾道総合病院産婦人科
-
藤原 篤
広島大学医学部産科婦人科
-
藤本 英夫
広島大学医学部産婦人科
-
木岡 寛雅
広島大学医学部産科婦人科学教室
-
藤本 英夫
広島総合病院
-
太田 さなえ
広島大学医学部産科婦人科
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