子宮頚癌におけるc-myc遺伝子mRNA過剰発現に関する分子生物学的検討
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概要
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子宮頚癌30症例(上皮内癌13例, 浸潤癌17例)を対象にc-myc遺伝子mRNAの過剰発現の有無を検索し転写レベルでの異常と遺伝子増幅の検討を行つた. 方法は過剰発現を手術時に摘出した組織からグアニジン-セシウムクロライド法によりRNAを抽出し, Northern blot hybridization法を用いて検索した. また, 遺伝子増幅をホルマリン固定パラフィン包埋切片よりDNAを抽出しSlot blot hybridization法により検討した. その結果30例中6例(20.0%)にc-myc遺伝子mRNAの過剰発現がみられ, このうち2例ではc-myc遺伝子増幅が同時に認められた. 過剰発現の程度はコントロールに比較して3〜5倍が4例, 5〜10倍が1例, 10倍以上が1例であつた. 臨床進行期別の検討では上皮内癌(0期)で13例中1例(7.7%), 浸潤癌I期で10例中1例(10.0%), II期で7例中4例(57.1%)にc-myc遺伝子mRNAの過剰発現が認められた. c-myc遺伝子増幅は30例中2例(6.7%)のみにみられ過剰発現は遺伝子増幅症例以外でも認められた. また, 最も高いc-myc遺伝子mRNA発現を示した症例ではコントロールに比べ10倍以上の過剰発現がみられ, 同時にc-myc遺伝子増幅も認められたが術後1年4ヵ月で死の転帰をたどり極めて予後不良であつた. 以上より, 子宮頚癌におけるc-myc遺伝子の過剰発現は浸潤癌で高い傾向がみられ, 今後予後との関連性の検討が必要と考えられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1992-05-01
著者
-
永井 宣隆
広島大学医学部産科婦人科学教室
-
谷本 博利
広島大学医学部産科婦人科学教室
-
谷本 博利
広島市立安佐市民病院
-
太田 さなえ
広島大学医学部産科婦人科学教室
-
大浜 紘三
広島大学医学部産科婦人科
-
藤本 英夫
広島大学医学部産婦人科
-
藤本 英夫
広島総合病院
-
谷本 博利
麻田総合病院産婦人科
-
谷本 博利
国立呉病院・中国地方がんセンター産婦人科
-
大浜 紘三
広島大学医学部産婦人科学教室
-
太田 さなえ
広島大学医学部産科婦人科
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