子宮頚部HPV感染とproliferating cell nuclear antigenによる細胞増殖能との比較検討
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概要
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子宮頚部HPV感染による細胞増殖能を検討する目的で正常子宮頚部上皮10例と子宮頚部病変123例(軽度異形成37例, 中等度異形成26例, 高度異形成34例, 上皮内癌26例)を対象に, in situ hybridization(I.S.H.)法によるHPV6, 11, 16, 18型DNAの検出と細胞増殖マーカーであるproliferating cell nuclear antigen (PCNA)の検索を免疫組織化学的に行い, 以下の成績を得た. 1. PCNAはホルマリン固定パラフィン包埋標本を検体に用いて簡便に検索でき, PCNA陽性細胞率(標識率)は, 正常子宮頚部上皮3.5%, 軽度異形成10.3%, 中等度異形成16.9%, 高度異形成23.7%, 上皮内癌36.3%と子宮頚部病変の進行に伴う有意な上昇を示した(t検定: p<0.01). 2. 各病変におけるHPV 6, 11, 16, 18型の4タイプ非検出群と検出群のPCNA標識率はそれぞれ軽度異形成9.2%と11.3%, 中等度異形成14.0%と18.7%, 高度異形成21.0%と25.0%, 上皮内癌34.2%と37.7%で, いずれの病変ともHPV検出群に高い傾向がみられた. 3. 各病変におけるHPV6型又は11型(6/11型)検出群と16型又は18型(16/18型)検出群のPCNA標識率は, 軽度異形成7.0%と11.8%, 中等度異形成11.8%と20.3%, 高度異形成17.8%と25.5%で, 16/18型検出群の細胞増殖能が旺盛であった. 4. HPVの4タイプ非検出群と16/18型検出群のPCNA標識率を比較したところ異形成病変では後者が有意な高値を示したが(p<0.05), 上皮内癌では差は認められなかった. 以上の結果から, PCNAは細胞増殖能の指標として有用であり, PCNA標識率とHPV感染との比較検討より特にHPV high risk群である16/18型感染と細胞増殖能との間に関連性が示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1993-09-01
著者
-
永井 宣隆
広島大学医学部産科婦人科学教室
-
村上 隆浩
広島大学医学部産科婦人科学教室
-
大濱 紘三
広島大学医学部産科婦人科学教室
-
太田 さなえ
広島大学医学部産科婦人科学教室
-
村上 隆浩
広島大学医学部産婦人科
-
太田 さなえ
広島大学医学部産科婦人科
-
大濱 紘三
広島大学医学部産科婦人科学
-
大濱 紘三
広島大学医学部産婦人科学教室
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