子宮頚癌関連病変におけるHPV DNA局在に関する分子生物学的検討 : In situ hybridizationによる解析
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概要
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子宮頚癌組織中に高率に分離, 同定されるヒトパピローマウィルス (HPV) DNAの局在をビオチン標識したHPV 6, 11, 16および18型DNAプローブを用いたin situ hybridizationを行ない, 子宮頚癌関連病変である異形成について検討し, HPVと子宮頚部の発癌との関連性について考察した。対象は生検で得られた各種異形成 (軽度22例, 中等度33例, 高度31例) 症例と正常な子宮頚部扁平上皮10例のホルマリン固定, パラフィン包埋切片を用い, 一部の異形成症例は6カ月以上のprospectiveな追跡調査も行ない, 以下の成績を得た。1) 正常子宮頚部扁平上皮では今回, HPV DNAは陰性であった。2) HPV DNAは軽度異形成ではおもに上皮の表層に近いkoilocytotic atypia (koilocytosis) を示す細胞の核に, 中等度異形成ではkoilocytosisや一部異型細胞の核に, 高度異形成ではおもに異型細胞の核に観察され, 上皮のほぼ全層にHPV DNAが検出された症例も認めた。3) HPV陽性の異形成組織に近接する扁平上皮化生細胞の核にも異型細胞と同じtypeのHPV DNA の検出された症例が10例中5例あった。4) 組織別の各HPV DNAの検出率はHPV 6/11型が異形成の進行とともに減少するのに対し, 16型は軽度異形成18.2% (4/22), 中等度異形成36.4% (12/33), 高度異形成61.3% (19/31) と増加した。また, 18型については, 一定の傾向は認められなかった。5) 6カ月以上のprospectiveな追跡調査でとくに16型DNA陽性の異形成で後に上皮内癌など進行した病変の発見された症例を認めた。以上より子宮頚癌関連病変において, HPV DNAは異型細胞, koilocytosisの核に局在した。HPV DNAのtypeでは追跡調査症例を含めて異形成の進行とともに16型DNAの検出率が上昇し, 16型陽性の異形成症例は子宮頚部の癌化との関連で十分な検索の必要性が示唆された。
- 1989-03-01
著者
-
永井 宣隆
広島大学医学部産科婦人科学教室
-
藤原 篤
広島大学医学部産科婦人科学教室
-
藤原 篤
厚生連尾道総合病院産婦人科
-
藤原 篤
広島大学医学部産科婦人科
-
木岡 寛雅
広島大学医学部産科婦人科学教室
-
重政 和志
広島大学医学部産婦人科教室
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