電顕オートラジオグラフィーによるヒト妊娠顆粒膜黄体細胞における蛋白合成能の解析

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ヒト初期妊娠穎粘膜黄体細胞の蛋白合成能を解析する目的で,3H-leucineを用いた経時的電顕オートラジオグラフィーを行い,とくに,非分泌蛋白の細胞内移行について検討した.chase10分では,総銀粒子数は極めて少ないが,銀粒子は主として粗面小胞体,ミトコンドリアにみられ,ゴノレジ装置,滑面小胞体,リゾゾームには認められなかった.30分では,銀粒子は滑面小胞体に軽度出現し始め,1時間,3時間では,核,粗面小胞体,滑面小胞体,ミトコンドリア,細胞質基質に分布していた.以後時間の経過とともに,総銀粒子数は増加し,6,12,24時間では銀粒子は主として核,粗面小胞体,滑面小胞体,ミトコンドリア,細胞質基質に,48時間では,かなりの銀粒子が核,粗面小胞体,ミトコンドリア,ゴルジ装置,滑面小胞体,細胞質基質にみられるようにたった.各細胞小器官における銀粒子の出現と分布状態の経時的推移をまとめてみると,chase 10分では粗面小胞体に最も多く(全銀粒子の34.3%),ミトコンドリア(29.3%),核(16.2%)に認められた.30分では,粗面小胞体の銀粒子の割合は減少し(18.7%),滑面小胞体に銀粒子が軽度出現して来た(5.4%).以後,粗面小胞体の銀粒子の割合は一時,軽度増加するが,次第に減少し,これに対して滑面小胞体のものは緩やかな増加を示した.一方,ミトコンドリアと核への取り込みは高く,ゴルジ装置,リゾゾームでは全経過を通じて,低かった.以上より,ヒト妊娠穎粘膜黄体細胞において,粗面小胞体で合成された蛋白の一部は粗面小胞体を経て滑面小胞体に輸送され,ステロイド合成に利用されることが示唆された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1984-05-01

電顕オートラジオグラフィーによるヒト妊娠顆粒膜黄体細胞における蛋白合成能の解析

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