ヌードマウス移植系を用いた卵巣胎児性癌の化学療法

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概要

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卵巣胎児性癌の有効な化学療法を検索するため5例のヒト胚細胞系腫瘍のnude mouse移植系を維持し,この中の1例を用いて制癌剤投与実験を行なった.1.38歳の卵巣胎児性癌患者より採取した組織をBALB/c系nude mouse雌に移植継代し(YST-1と命名)増殖速度が一定となった第8代の腫瘍を用いた.腫瘍は充実性で均一の増殖を示しα-fetoprotein(AfP)を産生し,組織形態,機能共に典型的な胎児性癌の特徴を示した.2.卵巣癌治療に使用される制癌剤の効果を検討するため,Adriamycin 5mg/kg,Carbazilquinone 0.6mg/kg,Mitomycin C 0.2mg/kg,5-Fluorouracil 25mg/kg,Cyclophosphamide 20mg/kg,Chromomycin A_3 0.05mg/kg,Vinblastine 1mg/kg,Bleomycin 3mg/kgの各薬剤を単剤ないし合剤で担癌nude mouse腹腔内に投与した.制癌剤投与実験期間中は腫瘍径を定期的に計測し,長径×(短径)^2×1/2を腫瘍の大きさ(tumor size)とした.制癌剤の効果はtumor size及び投与開始前後のtumor sizeの比(relative tumor size)をもって判定した.実験結果では,VinblastineとBleomycinの組合わせが最も強く腫瘍縮小効果を示したが,更に各制癌剤の投与実験結果を臨床治療との関連において考察した.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1980-10-01

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