成長ホルモン,プロラクチン、甲状腺刺激ホルモンの母体、胎児および羊水中における動態

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母体、胎児および羊水中の各compartmentsにおける下垂体ホルモン(GH、PRL、TSH)の生合成やそれらの胎盤通過性について、正常分娩および無脳児分娩例を対象に検討した。1)正常児GH濃度(n=16、 20.6±8.5ng/ml、mean±SD)は、正常分娩群の母体血濃度(5.7±1.4ng/ml)、羊水中濃度(2.0±0.5ng/ml)および無脳児分娩群の母体血濃度(n=10、5.4±1.6ng/ml)、胎児血濃度(5.1±3.5ng/ml)、羊水中濃度(1.8±0.7ng/ml)より有意(p<0.001)に高値であつた。2)正常児PRL濃度(283.1±127.5ng/ml)は、その母体血濃度(235.6±130.5ng/ml)、無脳児PRL濃度(199.4±111.8ng/ml)と有意差を認めなかったが、羊水中濃度(正常分娩群、650.0±319.2ng/ml;無脳児分娩群、1,228.5±319.8ng/ml)は母体血、胎児血濃度より極めて高値(p<0.001)であつた。3)正常児TSH濃度(10.2±4.6μU/m1)は、その母体血濃度(7.1±3.1μU/ml)より高値(p<0.05)であつた。また、無脳児TSH濃度(11.3±3.6μU/m1)もその母体血濃度(5.5±2.4μU/ml)より高値(p<0.001)であつたが、正常児1および無脳児TSH濃度に有意差を認めなかった.さらに、両群とも羊水中濃度は極めて低値であつた。以上の成績および各症例別の検討成績より、GH、PRL、TSHはいずれも下垂体前葉で生合成、分泌されるtropicpeptidehormonesでありながら、母体、胎児および羊水中でのそれらの濃度はそれぞれ特異なpattemを示した.かつ、これらのホルモンの生合成、分泌は、母体および胎児下垂体でそれぞれ独立して行なわれ、胎盤を通過し得ないと推測された。さらに、羊水中PRLの脱落膜での生合成を支持する成績、また、無脳児症例より胎児視床下部以外からの刺激により胎児下垂体でのTSH生合成の可能性を示唆する成績を得た。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1986-02-01

成長ホルモン,プロラクチン、甲状腺刺激ホルモンの母体、胎児および羊水中における動態

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