正常子宮腟部並びに子宮頚癌組織におけるアルドラーゼ活性とアイソザイムに関する研究
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概要
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子宮頚癌組織におけるアルドラーゼの活性並びにアイソザイムを非癌子宮腟部と比較検討し, さらに放射線治療にともなう変化を検索して以下の知見を得た. 1) 子宮頚癌組織のアルドラーゼ活性(FDPアルドラーゼ)は非癌組織の活性の2.3倍の高値を示す. 2) 癌組織を組織の分化度で分類し, 活性値との関係を検討すると成熟型のものが未熟型よりも高活性値を示した. 3) 放射線照射にともなう活性値の変化は一般に照射により活性の低下傾向を示し, 平均すると60.8%の減少を認めた. 4) DISC電気泳動法で非癌, 癌組織ともFDP, F1Pアルドラーゼそれぞれに4本のバンドを確認し, 陰極側より Ald_<1→4> と命名した. 5) FDP, F1Pアルドラーゼアイソザイムパターンを癌組織, 非癌と比較検討すると, 癌組織は非癌に比しAld_1がFDPでは2.1倍, F1Pでは1.5倍の増加を認め, Ald_<2,3>は変わらず, Ald_4は逆に非癌が高率を示した. 6) 放射線照射による変化はAld_1の減少とAld_4の増加傾向が見られ, そのためパターンは陰極偏在より陽極側に移行しその程度は症例によつて異なるが非癌のパターンに類似してくる傾向が認められる. 7) 放射線照射による活性値の低下並びにパターンの変化が大のものは病理組織学的変化も強くすなわち放射線照射効果が著明である. 以上の成績は現在その解明がいそがれている癌組織の解糖系代謝の問題点に1つの新しい資料を提供したものと考えるが, それと共に臨床面でのアイソザイムパターンの検索は活性値の高低と共に治療方針に1つの示唆を与え得るものであると考える.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1973-01-01
著者
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