子宮頚癌に於ける放射線感受性の研究 : とくに放射線治療後の予後判定法について
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概要
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今日悪性腫瘍の治療後の効果ならびに予後判定法は重要な課題であるが,猶これを適確に判定する方法は確立されていない. 本研究は子宮頚癌放射線治療に際し治療効果を判定する種々な方法を比較検討しその臨床応用の価値を論じたものである. 方法:放射線単独治療例の子宮頚癌75例を対象とし照射前,3,000rad 5,000rad照射後に於ける癌組織,血清の各種酵素活性,Isozyme, ^<32>P摂取率,細胞核DNA等の変化を検索し,同時に組織学的検討も行い,治療終了後の臨床経過との関係を比較検討した. 成績:(1) 子宮頚癌組織に於けるLactic dehydrogenase Isozymeについては放射線単独治療例50例(治療後5年以上)を対称として検討し,M型subunitの変化強のものでは経過良好例が83.3%をしめ変化弱のものでは経過不良例が84.6%を示した. (2) ^<32>P摂取率の変化では35例(5年以上経過)で変化強群のうち経過良好例は82.3%で,変化弱群では経過不良例が66.7%を示した. (3) 細胞核DNA量の変化では各症例は照射後低下型,不変型,上昇型の三例に分類され,そのうち低下型が他の二例に比べ明らかに経過が良好であつた. (4) その他組織Alkaline phosphatase(殊にHeat-stable ALP), Aldolase, Glucose-6-phosphate dehydrogenase, Malic dehydrogenase等照射に伴い活性値,Isozymeの分画比に変化を認めた. (5) 血清に於ける各種酵素活性及びIsozymeを検討したがそのうちLDH Isozymeは照射後の変化強のものでは経過良好例が75%を占め,変化弱では72.7%が経過不良であつた.活性値の変化ではHeat-stable ALP (HSAP)が変化強のものが経過良好例71.4%を示した. 以上の結果から組織及び血清のLDH Isozyme, HSAP, ^<32>P摂取率,細胞核DNA等の変化はほぼ平行関係を示し,治療効果及び予後に極めて密接な関係を有することが認められた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1976-11-01
著者
-
佐藤 博
東京医科大学産婦人科学教室
-
平岩 幹夫
平岩ウイメンズクリニック
-
秋谷 清
子宮癌登録委員会
-
奴田原 裕一
東京医科大学産婦人科学教室
-
根岸 能之
東京医科大学産婦人科学教室
-
秋谷 清
東京医科大学産婦人科
-
根岸 能之
東京医大
-
根岸 能之
東京医科大学 産婦人科
-
小林 一彦
東京医大
-
佐藤 博巳
東京医大
-
原 捷平
東京医大
-
佐藤 博巳
東京医科大学産科婦人科学教室
-
梅林 栄一
東京医科大学産婦人科学教室
-
原 捷平
東京医科大学産婦人科学教室
-
小林 一彦
東京医科大学産婦人科学教室
-
平岩 幹夫
東京医科大学産婦人科学教室
-
佐藤 博巳
東京医科大学産婦人科
-
根岸 能之
東京医科大学
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