妊娠後期家兎の母体ならびに胎仔に及ぼすβ_2-Stimulant,Ritodrine Hydrochloride の作用

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Ritodrin hydrochloride(ritodrin)は,早産防止の目的で開発されたβ_2-stimulantである.今回我々は,妊娠後期家兎における子宮運動,胎仔心拍数および胎盤血流量に対する作用をisoproterenolおよびisoxsuprineと比較検討した.さらに,薬物誘発による胎盤循環障害に対するritodrineの改善作用の有無についても検討を加えた.1)妊娠27〜29日の家兎の子宮運動に対してritodrineは,10μg/kgより用量依存的な抑制を示し,1000μg/kgでは約80%の抑制が認められた.この抑制はisoproterenolに比べより強力であった.2)Ritodrineは最高用量で母体血圧低下を生じたが,isoxsuprineより軽度であった.母体心拍数に対しisoproterenolは用量依存的な増加を示したが,ritodrineおよびisoxsuprineではほとんど変化が認められなかった.3)胎仔心拍数に対してisoxsuprineでは著明な徐脈を認めたが,ritodrineおよびisoproterenolでは,ほとんど作用は認められなかった.4)胎盤血流量に対してisoxsuprineで著明な減少を認めたが,ritodrineでは軽度であり,isoxsuprineは回復に長時間を要した.5)Noradrenaline投与により生じる胎仔心拍数,胎盤血流量の減少に対し,ritodrineは両変化の回復時間を早めることが確認された.さらに,PGF_<2α>子宮内投与による胎仔心拍数の減少に対して,ritodrineはその回復時間を早めた.また,ritodrineを前投与することにより,PGF_<2α>による胎仔心拍数の減少を抑制することが確認された.以上の結果より,ritodrineは明確なる子宮収縮抑制効果を示す一方,母体循環器系および胎仔胎盤系に及ぼす影響は小さいこと,さらに,胎盤循環不全時や子宮内圧力進時の改善効果が認められることなどから,臨床上での有用性が示唆された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1983-11-01

妊娠後期家兎の母体ならびに胎仔に及ぼすβ_2-Stimulant,Ritodrine Hydrochloride の作用

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