切迫早産における塩酸リトドリン連続投与時の母体血中濃度維持と母児に対する影響について

概要

論文の詳細を見る
リトドリン連続点滴静注により切迫早産管理に成功した症例において, リトドリン母体血中濃度の推移をみるとともに, 母児に対する影響および経胎盤移行動態について検討し, 以下の成績を得た。(1) 切迫早産17症例において, 平均投与用量72.9μg/min (総投与量2,850〜7,350 mg) で28〜66日の妊娠期間延長効果が得られた。(2) 投与期間中のリトドリン血中濃度は投与開始1日後, 7日後, 14日後, 21日後および28日後において, それぞれ193.0±36.8, 197.7±23.3, 168.4±30.0, 205.5±22.1, 207.8±21.9 ng/ml (以下, M±S.E.) を示し, 200 ng/ml程度の母体血中濃度が維持されていた。(3) 母体心拍数および血清グルコースの増加, 母体血圧の低下傾向が持続して認められたが, いずれも軽度な正常範囲内の変動であった。また, 赤血球数, ヘモグロビン値, ヘマトクリット値の有意な低下および血清カリウム値のわずかな低下がみられたが, 一過性の変化であった。胎児心拍数に有意な変化は観察されなかった。(4) 連続投与後の帝王切開分娩症例における分娩時の母体静脈血中リトドリン濃度に対する〓帯静脈血中濃度比 (CV/MV ratio) および羊水中濃度比 (AF/MV ratio) は, それぞれ0.68±0.08, 1.64±0.24であり, 連続投与により, 胎児血中ならびに羊水中濃度の上昇が推察された。(5) 分娩時母体所見および新生児所見に異常は認められなかった。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1989-03-01

切迫早産における塩酸リトドリン連続投与時の母体血中濃度維持と母児に対する影響について

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク