コルポ診所見と異型上皮,上皮内癌および初期浸潤癌の相関について

概要

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軽度異型上皮,高度異型上皮,上皮内癌,初期浸潤癌のコルポ診所見をretospectiveに分析した結果次の成績を得た. 1) コルポ診異常所見のtriasたる白斑,分野,基底にその深さや厚みを表わす指標として透明度を導入し,triasのそれぞれを半透明,不透明,隆起性の3型に分類して各組織診断との相関をみると軽度異型上皮は半透明が55%,不透明が45%,高度異型上皮は不透明が81%,上皮内癌は不透明が60%,隆起性が40%,初期浸潤癌は隆起性が91%となり,透明度と組織診断は相関を示した. 2) 白斑,分野,基底のそれぞれの単独例とそれらの2つ以上の所見が合併した例の2群に大別して各組織診断との相関を求めた. 前記triasの2つ以上の所見の合併例は軽度から高度異型上皮,上皮内癌とわずかずつ率が上がり,初期浸潤癌にいたり40%と大幅に増加するが,前述の透明度分類程には相関を示さない. 3) コルポ診異常所見の変換帯内における占拠率を求めたところ各組織診断と明瞭な相関を示した.すなわち変換帯内における異常所見の平均占拠率は軽度異型上皮20%,高度異型上皮35%,上皮内癌56%,初期浸潤癌80%である. 4) コルポ診異常所見の存在様式をectocervixとendocervixの占拠の関係より,I型とII型に分類すると異型上皮ではI型が多く,上皮内癌以上では殆どII型であつた. 5) コルポ診異常所見の周辺像の検索の結果,異常所見が原生上皮と接している場合,高度異型上皮以上を考えるべきであるが,高度異型上皮と上皮内癌とは境界領域に関してみると類似していた.しかしII型が上皮内癌に多いこと及び透明度や占拠率から両者の区別は可能と思われる. これらの事項の組み合わせにより,従来のコルポスコピー分類による所見より,病変の状態をより正確に把握できると考える.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1978-06-01

コルポ診所見と異型上皮,上皮内癌および初期浸潤癌の相関について

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