妊娠中毒症における尿中PGE2動態

概要

論文の詳細を見る
概要高血圧を伴う純粋型妊娠中毒症36例における尿中プロスタグラソジソE2(PGE_2)値を測定して、正常妊娠(前期7例,中期6例,後期18例)との比較、各症状の因子(収縮期血圧,拡張期血圧,蛋白尿,浮腫)別の検討を行なつた。正常妊娠の尿中PGE_2値は妊娠経過中、特に有意の変化を示さなかつた。対象を妊娠36週以降に限つて、正常妊娠と妊娠中毒症の尿中PGE_2値を比較すると、正常妊娠は1,039±85ng/day(mean±S.E.,n=13)、軽症高血圧型妊娠中毒症は1,025±140ng/day(n=8)、重症高血圧型妊娠中毒症は616±91ng/day(n=18)であり、重症高血圧型は正常妊娠(plt0.005)、軽症高血圧型(plt0.03)と比較して有意の低値を示した。高血圧因子の尿中PGE_2値では、重症例は軽症例と比較して、収縮期血圧(plt0.02)、拡張期血圧(plt0.005)とも有意の低値を示した。また、平均血圧、収縮期血圧、拡張期血圧と尿中PGE_2値はそれぞれ有意の負の相関を示したが、拡張期血圧と尿中PGE_2値がもつとも強い相関を示した(n=33,r=-0.593,plt0.001)。蛋白尿、浮腫はそれぞれ(-)〜(+)、(++)以上に分けて尿中PGE_2値を検討した。(++)以上は(-)〜(+)と比較して、蛋白尿(plt0.02)、浮腫(plt0.002)とも有意に低値を示したが、重症高血圧型のみに限定すると、浮腫だけに有意(plt0.04)の低値を示した。以上より、重症高血圧型妊娠中毒症において腎におけるPG生成が減少し、症状の因子別では拡張期血圧のPGの関係が最も強く、また浮腫に対しても腎のPGが何らかの関与を及ぼしていることが示唆された。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1986-09-01

妊娠中毒症における尿中PGE2動態

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク