体重減少性性腺機能低下症の発現機序解明に関する研究 : 体重減少・回復に伴うラット性周期と内分泌環境の変化
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概要
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概要 体重減少性性腺機能低下症の発症機序解明を目的とし、12週齢のSD系雌ラットでの2ヵ月間の食餌量制限による体重減少・回復過程での性周期と視床下部-下垂体前葉-卵巣系機能の変化を観察し以下の成績を得た。 1。体重減少期:食餌制限6日以内に全例が連続非発情となつた。視床下部内LH-RH含量は増加していた。血中LH、PRLは食餌制限第7日目より低下し血中FSHは60日目になり低下したが、これらのホルモンの下垂体前葉内含量は初期には増加し、1ヵ月目以後低下した。また下垂体前葉は外因性LH-RH・TRHに対する反応性を有し、各ホルモンの基礎値よりの上昇率はcontrolよりも大きくなつていた。血中・卵巣中E2、Progesterone値は初期には変化なく14日目~30日目より低下した。 2。体重回復期:体重は自由摂食再開15日目頃に実験開始前レベルに復した。自由摂食再開8日目頃に一過性の発|青期像を呈した後再び連続非発情となり、16日目頃より正常周期へと移行した。視床下部内LH-RH含量は高値を維持し、16日目頃にcontrolレベルに復した。血中PRL、血中および下垂体中FSH値は自由摂食再開直後よりcontrolを超えて増加し、血中・下垂体中LHは徐々にcontrolレベルに復した。下垂体前葉は外因性LH-RH・TRHに対する反応性を有したが、FSH、PRLで基礎値よりの上昇率の低下が観察された。血中・卵巣中E2、Progesteroneは漸増し21日目にcontrolレベルとなつたが、一過性発情期像後の連続非発情の時期に一致するProgesteroneの著増が観察された。 以上の成績より体重減少期には視床下部よりの放出因子分泌の低下により下垂体一卵巣機能が低下し、体重回復期には放出因子の産生・分泌究進により下垂体前葉機能の充進と卵巣機能の回復がみられることが示唆された。また体重減少初期には下垂体前葉・卵巣でのホルモソ産生・分泌能が究進することが推測された。体重回復期には初回排卵後の偽妊娠あるいは卵胞成熟遅延により性周期の正常化は体重の回復に遅れたものと推測された。
- 1986-10-01
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