原発性卵管癌 : その臨床像と進行期分類の問題点についての検討

概要

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1961年より1987年までの27年間に国立大阪病院で治療された13例の原発性卵管癌についてその臨床像と各症例での進行期分類と予後との関連について検討を行つた. 同期間に取り扱つた全婦人科悪性腫瘍における本疾患の頻度は0.18%であつた. 患者の平均年齢は50.7歳で, 12例(92%)が41〜59歳の間であり, この期間が本疾患の好発年齢であることが示唆された. また6例(46%)が未妊婦, 9例(69%)が未産婦であり, 不妊が重要な risk factorになつていることが考えられた. 細胞診が施行された6例のうち, 頚部細胞診で腫瘍細胞が得られたものはなく, 体部吸引細胞診は3例に陽性であつた. 進行例2例において術後, CDDPを含む多剤併用療法が施行され著効が認められた. また, 4例に放射線治療が施行されたが, 有効性は認められなかつた. 各症例について Dodson et al.および Schiller et al.の二つの代表的な進行期分類を用いて stagingを行つた結果, 進行例では両分類に差は認められなかつたが, 癌病変が卵管に限局している初期症例においてはDodson et al. の分類は不都合であり Schiller et al.の分類のほうが予後判定に優れていると考えられた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1988-10-01