子宮癌患者に於ける放射線治療期間中に出現する末梢リンパ球染色体異常の推移とその意義特にリンパ球の細胞動態について
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概要
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放射線照射後に出現する末梢リンパ球染色体異常とその医学・生物学的意義については, 多くの報告が見られるが, 放射線治療期間中の異常の推移については何も知られていない. 著者は放射線治療を受けている子宮癌患者の照射期間中に於ける末梢リンパ球染色体を検索し, 照射回数と染色体異常を有する細胞頻度との関係を追求することにより, 現在ほとんど何も知られていないリンパ球の細胞動態の解析について研究した. 異数性細胞頻度は1〜2回の照射で急激に増加したが, その後は平衡状態を示した. 4倍体細胞頻度及び染色分体型異常を有する細胞頻度と照射回数との間には, はつきりとした関係は見られなかつた. 一方不安定型染色体異常を有する細胞頻度は, 照射回数第5回まではほゞ直線的に増加するが, その後第10回照射まではほとんど変化が見られず, その後再び増加する傾向が見られた. これは50時間培養群及び72時間培養群共に同様の傾向を示した. 1細胞当りの二動原体染色体の数の分布は, 照射回数を増加していつても, ポアソン分布によく合致していた. 又 200R 1回照射後採血までの時間とこれら異常を有する細胞頻度との関係は, 照射後20分で既に出現し, 照射後3〜6時間で最高に達し, 20時間後では最高値の約1/2に減少していた. 末梢リンパ球数は照射開始と共に急激に減少していつたが, 照射第7回以降は一時平衡状態を示し, その後再び照射回数と共に減少していつた. このような結果から, 末梢血中のリンパ球と全身のリンパ組織中のリンパ球は約1週間の間隔で交代すること, 及び放射線照射による末梢リンパ球数の減少を補充する為に, リンパ組織からのリンパ球の動員が起り, そしてその際リンパ組織内でのリンパ球の増殖が特に起る可能性のあること, 及び放射線照射による老化の促進が細胞遺伝学的にも起つている可能性のあることが示唆された.
- 1973-01-01
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