子宮癌術後骨盤死腔内ドレーン設置時における膣断端, 骨盤死腔液内検出菌の検討
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概要
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広汎性子宮全摘出術後, 腔内細菌が経膣ドレーンを介して骨盤死腔内に達する可能性を検討する目的から, 昭和59年2月より昭和60年3月までの14ヵ月間に国立大阪病院婦人科において広汎性子宮全摘出術およびリンパ節郭清術を伴う準広汎性子宮全摘出術を行なった症例のなかから, 計41症例を対象として, 術前後膣円蓋, 術後の膣断端, 左右骨盤死腔液の細菌検索を行ない, 以下の成績を得た.1. 左右骨盤死腔液より検出された菌はS.faecalisが圧倒的に多く, 他は真菌, S.epidermidis等であった.2. 術後3日目における左右骨盤死腔液内菌検出率は左33.3%, 右42.5%であった.3. 左右骨盤死腔液内検出菌と膣断端検出菌の一致率は左90.9%, 右76.5%であった.膣断端より病原菌を検出しなかった10症例においては, 同時に左右骨盤死腔液からも菌を検出しなかった.4. 術前後膣円蓋検出菌と左右骨盤死腔液内検出菌が一致したものは1例のみであった.しかし, この例では同時に膣断端検出菌にも一致し, 術時膣腔を開いた時の感染か, 経ドレーン性逆行性感染かは不明である.5. 左右骨盤死腔液から検出される菌種の一致率は高いが, 菌種から推測するに, Relia VacからY字管を通り, 経ドレーン内壁性に骨盤死腔に逆行性感染を生じた可能性は低いと考えられた.6. 子宮癌臨床進行期に一致して, 骨盤死腔液内菌検出率が上昇するとは言えなかった.以上より, 経膣ドレーン外壁性逆行性感染の可能性が示唆された.
- 1987-10-01
著者
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