腹腔用reservoirを用いた腹腔内洗浄細胞診による卵巣癌腹腔内再発の早期発見の試み

概要

論文の詳細を見る
目的:いわゆるoptimal debulkingを受けた卵巣癌患者に対して, 術後の再発を早期発見するための有効な追跡方法がない. そこで, 腹腔用reservoirを利用した腹腔内洗浄細胞診が, これらの症例のfollow upに有用であるか検討した. 方法:1988年4月から1993年12月までの期間, III, IV期卵巣癌63症例中31症例にoptimal debulkingが施行され, reservoir(Infuse-A-Port)が設置された. この31症例に2〜4週間ごとに腹腔内洗浄細胞診を施行した. 細胞採取方法は, 仰臥位でreservoirより生食500mlを腹腔内に注入し, 体位変換後座位にし, 洗浄液を回収した. 遠心後, Papanicolaou, Giemsa, PAS, Alcian blue染色を施し鏡検した. 成績:経過観察期間は平均312日(27〜1,830)で, 1症例あたりの検体採取は平均10.5回(5〜60回)であった. 31例中12例(39%)が21回以上検体を採取した. 31例の経過観察期間中に, 6例が臨床的に再発所見がないにもかかわらず, 腹腔内洗浄細胞診で再発が確認された. その6例の腹腔内洗浄細胞診では癌細胞と同時に活動性中皮細胞, 多核組織球, ヘモジデリンを細胞質内に貧食した組織球が特徴的に認められた. ヘモジデリンを細胞内に貧食した組織球は癌細胞が腹腔内洗浄細胞診で確認された時点か, 又はそれ以前に観察された. 結論:1)reservoirは, 1年以上留置しても合併症も少なく, 高率に細胞採取が可能で, optimal debulking後の腹腔内再発の早期発見に有用である. 2)腹腔内洗浄細胞診の背景所見で, ヘモジデリンを細胞内に貧食した組織球の出現は, 腹腔内再発の前兆である可能性を見出した.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1996-03-01

腹腔用reservoirを用いた腹腔内洗浄細胞診による卵巣癌腹腔内再発の早期発見の試み

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク