若年者における上皮性卵巣癌の特徴

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1984年8月から1994年8月までの10年間に, 大分医科大学附属病院産婦人科にて上皮性卵巣癌と診断された95例について, 40歳末満と40歳以上の2群に分け, 特に40歳未満における上皮性卵巣癌の特徴についてretrospectiveに検討した. また, 特に若年者における上皮性卵巣癌の治療上間題となるstage Iaの症例に対する手術術式と予後について考察した. 1. 上皮性卵巣癌95例中22例(23.2%)が40歳未満であった. 2. 多くの症例で, 診断時に下腹痛, 下腹部腫瘤, 腹部膨満感を認めた. 症状については年齢による差は認めなかった. 3. Stage Iaの症例は40歳未満では11例(50.0%), 40歳以上では9例(12.3%)であった. 40歳未満でのstage Iaの頻度は40歳以上に比して有意に高かった(p<0.005). 4. 病理組織学的検討では, 40歳未満では22例中16例(72.7%), 40歳以上では73例中27例(37.0%)がmucinous cystadenocarcinomaと診断され, 40歳未満で高頻度であった(p<0.005). 40歳未満の症例にはendometrioid carcinomaおよびclear cell carcinomaは含まれなかった. また分化度について検討すると, 40歳未満ではstage Iaの11例すべて(100%)がgrade 1であったが, 40歳以上では, 9例中7例(77.8%)がgrade 1であった. 5. 40歳未満のstage Iaの症例のうち, 妊娠中の2例と挙児希望のある5例には片側付属器切除術を施行したが, 現在経過観察中の症例も含め, 術後5年以内には再発を認めなかった. これは上皮性卵巣癌stage Iaにおける妊孕性温存術式として, 片側付属器切除術を選択してもよいというこれまでの報告を裏付けるものであった.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1995-09-01

若年者における上皮性卵巣癌の特徴

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