ホルモン補充療法における血中エストロゲン値の高感度測定法による検討
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概要
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ホルモン補充療法 (HRT)は更年期障害の改善のみならず, 骨粗髪症の予防ならびに治療として本邦において次第に浸透してきているが, 本邦婦人に適切なホルモン剤の種類, 投与量, 投与方法などについてはまだ検討が十分でない. 今回我々は HPLCとRIAを組み合せ, 感度, 特異性ともに優れた測定方法を用いて, HRT施行中の血中エストラジオール (E2)およびエストロン (E1)値を測定し, これらの推移を検討した. またHRT施行中の随伴症状である***出血について血中E2濃度との関連を検討した. まず閉経前後における各年代別の血中E2およびE1値を測定したところ, E1については従来とほぼ同様の値で低下したが, E2は55歳を過ぎると 3〜6 pg/mlと従来の報告より非常に低い値を推移することが明らかとなった. 次いで38例の更年期障害患者について結合型エストロゲン(CEE)0.625mgと酢酸メドロキシプロゲステロン(MPA) 2.5mgの連日持続併用療法を施行し, その治療開始前, 6ヵ月後, 12ヵ月後の血中E2およびE1を測定した. その結果E2について平均値で投与前3.34pg/mlであったものが6ヵ月後には23.6, 12ヵ月後には21.5pg/mlと有意な上昇を示し, E1については投与前26.6pg/mlであったものが6ヵ月後には156.7, 12ヵ月後には 137.2pg/mlと有意な上昇を示した. さらに***出血について6ヵ月の時点で出血が認められた群と認められなかった群に分けて比較すると, E2濃度は出血が認められた群において平均25.9pg/mlであったが, 認められなかった群においては平均19.9pg/mlであり, 出血が認められた群において高い傾向にあった. HRT施行中の血中E2濃度については従来その測定が困難であったことから十分検討されていなかったが, 今回の検討成績は本邦婦人に対する新たな投与方法や投与量を検討するうえで基本的なデーターを提供するものであり有意義と思われた.
- 1995-07-01
著者
-
畠 啓視
三菱化学ビーシーエル感染症特別開発部
-
青野 敏博
徳島大学医学部産科婦人科
-
畠 啓視
株式会社三菱化学ビーシーエル研究開発部
-
安井 敏之
徳島大
-
苛原 稔
徳島大学医学部
-
安井 敏之
徳島大学医学部産婦人科
-
上村 浩一
徳島大学医学部産科婦人科
-
米田 直人
徳島大学医学部産科婦人科
-
米田 直人
浜田病院
-
砂原 誠司
(株)三菱化学ビーシーエル
-
砂原 誠司
三菱化学ビーシーエル 検査第5部
-
畠 啓視
三菱化学ビーシーエル
-
青野 敏博
徳島大学医学部
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