人胎盤アルカリフォスファターゼの新精製法とその精製酵素の性質について

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人胎盤アルカリフォスファターゼ(HPALP)は, 耐熱性アルカリフォスファターゼとして血清中で測定され, 胎盤成長の一つの指標とされている.今回, 我々は, HPALPを胎盤より蛋白分解酵素パパインを用いて可溶化し, 硫安沈殿, セファデックスG-200, 及びDEAE-セルロースカラムクロマトグラフィーにより精製する新しい方法を試み, その精製酵素の性質を調べた.その結果, 精製酵素は分子量約220, 000であり, 電子顕微鏡観察では球状蛋白であつた.また, 7.5%ポリアクリルアミドゲル電気泳動のパターンでは, 精製酵素は単一バンドを示し, 夾雑物はほとんど認められなかつたが, 5%のそれのザイモグラムでは少なくとも3本のバンドが極めて接近して現われた.ノイラミニダーゼを処理することにより電気泳動移動度は減少し, パラニトロフェノール燐酸を基質とした場合のKm値が増加し, Vmaxは, 上昇することからシアル酸は, 本酵素の構造に関与しているものと考えられる.又, このアルカリフォスファターゼ精製法で精製した酵素は, Ghosh等が報告した有機溶媒を用いて可溶化, 精製した酵素(variantB)と, 分子量がほぼ一致した.パパインで可溶化された酵素は, 細胞膜に表在した酵素蛋白と考えられるので, 本精製酵素は細胞膜上に極めて浅く存在しているものであろう.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1976-12-01

人胎盤アルカリフォスファターゼの新精製法とその精製酵素の性質について

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