直立時動揺の年齢による変化

元データ 1979-09-01

概要

本研究の目的は,直立時動揺の年齢による変化をみることである。被検者は,20才代から60才代までの健康な男女45名であった。年齢別被検者数は,20才代が12名,30才代が10名,40才代が10名,50才代が9名,60才代が4名であった。動揺測定装置は,1辺が65cmの正三角形のアクリル樹脂板を荷重センサーで3点支持したものである。被検者は,この動揺測定装置の上で,開眼および閉眼でそれぞれ2分間直立姿勢を維持した。動揺による荷重変動は電気信号に変換され,磁気テープに記録された。動揺度は1分間当りの身体重心の水平面上に対する投影軌跡の長さで示した。重心移動距離の算出は,すべて,A-D変換能力を備えた電子計算機(HITAC-10-II)を用いて行なわれた。その結果,次のようなことが明らかとなった。1.直立時動揺を重心移動距離でみた場合,開眼および閉眼のいずれの条件下においても,年齢の進むにつれて増加する傾向があった。増加の度合は,開眼状態では漸増的であるのに対し,閉眼状態では50才代以降著しく大きくなった。2.重心移動距離を前後方向(Y)成分および左右方向(X)成分に分角牟してYとXの比率(Y/X)を求め,その年齢的推移をみると,開眼および閉眼のいずれの条件下においても年齢の進むにつれて漸減傾向を示した。したがって,年齢の進むにつれて,前後方向よりも左右の方向へ動きの増加することがうかがえた。3.X成分,Y成分のそれぞれについて,閉眼値と開眼値の比率を求め比較したところ,すべての年齢層においてY成分におけるよりもX成分に255おける方が大きい傾向にあった。このことから,眼を閉じることによって前後方向よりも左右方向への動きの割合がより多く増加する傾向がうかがえた。4.直立時動揺の年齢的推移をみると,開眼よりも閉眼状態において動揺の増加率が大きいことから,平衡機序は加齢に伴って変容し,特に視覚系以外の調節機能の著しく退行することが示唆された。

著者

山本 高司 中京大学体育学部
山本 高司 中京大学大学院体育学研究科運動生理学研究室
山本 高司 中京大学体育学研究科
山本 高司 中京大 体育

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