幼児の物語理解に及ぼす先行情報の質的効果
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概要
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本研究は,6才児が「ぐるんぱのようちえん」というくり返し構造をもつ物語材料をよりよく理解するためには,どのような先行情報をどのような提示様式で与えればよいのかを検討するために計画された。被験者は平均年齢6才5か月の幼稚園児76名である。被験者は物語提示前に提示される絵画情報の性質によって単一刺激順序提示群,単一刺激ランダム提示群,加算刺激順序提示群,加算刺激ランダム提示群の4群に19名ずつランダムに割当てられた。単一刺激とは物語展開の各場面に応じた7枚の絵から成るものであり,加算刺激とは物語展開にそって加算的に増加する製品を運ぶ場面(5枚)を含む7枚の絵から成るものである。提示様式としては,物語展開の順序通りに絵画刺激を配列する順序提示と無関係な配列をするランダム提示とが設けられた。実験は,(1)先行絵画情報の提示,(2)物語の提示,(3)理解,再構成テストを含む直後テスト,(4)3日後の再構成遅延テストの4つのセッションから成る。 主な結果は次の通りであった。 (1) 加算情報の順序提示群は直後テストにおいて有意によい成績を示したが,遅延テストでは他の3群に成績の上昇がみられ条件差は解消した(FIG.2)。(2) 順序提示群がランダム提示群よりもよい成績であろうという仮説は全体としては支持されなかった。しかしその効果は物語の構造部位によって異なることが示唆される結果が得られた(FIG.4)。(3) 全体としてカード構成の得点は,連の位置における差が大きく,中央部分の成績は初頭と終末の部位の連よりも著しく 造性をとらえることができ,この構造性が後続する物語理解における枠組として有効に働いたと考えられるが,その効果は直後においては大きいが,3日後には各自の持っている既有の枠組による処理がなされたと推論された。
- 日本教育心理学会の論文
- 1979-12-30
著者
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