日光におけるニホンジカの越冬地拡大、個体群成長と地球温暖化との関係
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
栃木県日光市一帯に生息するニホンジカ(Cervus nippon)の越冬地の拡大と温暖化との関係を検討した。1980年代初期(1980-1982)と1990年代初期(1993-1994)を比較すると、ニホンジカ個体群は多雪地帯に向かって越冬地を拡大し、旧越冬地では生息密度の増加が認められた。調査地域内住民7名を対象にした聞き取り調査によると、奥日光では1970年代以前の1m以上の積雪深が1980年代以後は30cm以下にまで減少し、ニホンジカの新越冬地への進出がみられるようになった。調査地域に位置する日光測候所(1944-1995)と調査地域東南30kmに位置する宇都宮地方気象台(1891-1995)の冬期(12-3月)の月平均気温は各月とも上昇傾向を示し、特に12月の気温の上昇は顕著であった。日光測候所の同期間の積雪深は減少傾向を示し、12月に特に顕著であった。したがって、調査地域では冬期間の短縮を含む温暖化傾向が認められ、これのニホンジカ越冬地拡大への影響が示唆された。
- 野生生物保護学会の論文
著者
-
丸山 直樹
東京農工大学
-
神崎 伸夫
東京農工大学農学部地域生態システム学科野生動物保護学研究室
-
小金澤 正昭
宇都宮大学
-
小金沢 正昭
宇都宮大学農学部附属演習林
-
神崎 伸夫
東京農工大学
-
神崎 伸夫
東京農工大学農学部地域生態システム学科
-
丸山 直樹
農工大・農
-
丸山 直樹
東京農工大学農学部地域生態システム学科
-
李 玉春
東京農工大学農学部地域生態システム学科生態系計画学講座
-
李 玉春
宇都宮大学:中国海南師範学院
関連論文
- 南伊豆町におけるイノシシ被害農業の現状と将来 : 農業従事者からの聞き取り
- 中山間地域社会と自然保護 (国際イノシシフォーラム)
- 島根県における県外狩猟者の実態とその意識
- 首都圏近郊都市住民が共存を望む野生哺乳類とその要因
- P20) 首都圏住民が共存を望む野生動物とその要因(ポスター発表, 野生生物保護学会 2000 年大会大会報告 : 講演要旨)
- P09)タヌキにおける餌食物の消化係数を用いた食性(重量比)分析(ポスター発表,講演要旨,野生生物保護学会2003年大会大会報告)
- B4 白神山地における都市住民ボランティアによるニホンザルの追い上げ効果(口頭発表,講演要旨,野生生物保護学会2004年大会大会報告)
- B3 奥日光のミズナラ林における繁殖期の鳥類群集へ与えるニホンジカの影響(口頭発表,講演要旨,野生生物保護学会2004年大会大会報告)
- R7 フクロウ研究集会(自由集会,講演要旨,野生生物保護学会2004年大会大会報告)
- P14)奥日光におけるササ型林床およびシロヨメナ型林床に成立する繁殖期の鳥類群集(ポスター発表,講演要旨,野生生物保護学会2003年大会大会報告)
- O02)大興安嶺西麓,森林/草原移行帯に生息するハイイロオオカミとキツネ類の食性(口頭発表,講演要旨,野生生物保護学会2003年大会大会報告)
- 農作物加害中・大型哺乳類追い上げ事業の理念と課題
- 日光国立公園三本松及び小田代ヶ原における観光客の自然に関する意識
- P21) 日光国立公園三本松及び小田代ケ原における観光客の自然に関する意識(ポスター発表, 野生生物保護学会 2000 年大会大会報告 : 講演要旨)
- P19) 1996 年蒙古火災からの巴日図林場の森林回復調査 (予報)(ポスター発表, 野生生物保護学会 2000 年大会大会報告 : 講演要旨)
- 日光国立公園尾瀬特別保護地区におけるニホンジカによる樹木剥皮
- 日光国立公園の自然とニホンジカによる森林被害に関する観光客の意識
- 尾瀬における観光客の自然に関する知識と意識
- 磁気双極子場のオンオフ符号による存在検出系とその野生小動物行動記録への応用
- C7 中国内蒙古自治区達里諾尓国家級自然保護区におけるエコ・グリーンツーリズムの実現条件(口頭発表,講演要旨,野生生物保護学会2004年大会大会報告)
- A23) 内蒙古自治区呼倫貝爾盟での自然保護活動(口頭発表, 野生生物保護学会 2000 年大会大会報告 : プログラム)
- 白神山地北東部に生息する野生ニホンザル(Macaca fuscata)の農地利用型食物選択
- O25)白神山地における西目屋村アニマルパトロールの取り組みと地域社会の展望(口頭発表,講演要旨,野生生物保護学会2003年大会大会報告)
- 白神山地における西目屋村アニマルパトロールの取り組みと地域社会の展望
- ニホンカモシカの脂肪蓄積指標としての腎脂肪および骨髄内脂肪
- ニホンカモシカの個体数推定法としての区画法
- C1 山梨県富士河口湖町御坂山地におけるイノシシ道の密度分布とその季節的変化(口頭発表,講演要旨,野生生物保護学会2004年大会大会報告)
- 東京都市近郊におけるニホンアナグマ (Meles meles anakuma) の体重及び栄養状態への地域住民の餌づけの影響
- 日光における猟犬によるニホンザル野生群の追い上げ試験
- P7 モンゴル,フスタイ国立公園におけるハイイロオオカミ(Canis lupus)の食性(ポスター発表,講演要旨,野生生物保護学会2004年大会大会報告)
- P6 モンゴル・ボグドハン厳正自然保護区に生息するハイイロオオカミの食性(ポスター発表,講演要旨,野生生物保護学会2004年大会大会報告)
- O09) 石川県白山麓のニホンザルに対する住民意識(口頭発表, 野生生物保護学会 2002 年大会大会報告 : 講演要旨)
- 日光国立公園いろは坂におけるニホンザルと観光客の餌付けを巡る行動(関東甲信越ニホンザルフォーラム)
- O03)ツキノワグマは何故スギを食べるのか : スギに含まれる糖分について(口頭発表,講演要旨,野生生物保護学会2003年大会大会報告)
- 多摩川中流域河川敷におけるニホンイタチの食性の季節的変化
- P4 南伊豆暗沢山一帯におけるイノシシ道密度による猟期前後のイノシシ増減判定(ポスター発表,講演要旨,野生生物保護学会2004年大会大会報告)
- 島根県における狩猟の実態と狩猟者の意識 (国際イノシシフォーラム)
- 5.アマミノクロウサギの現況とその生息環境について(第5回野兎研究会記録)
- 栃木県日光のニホンジカによる樹木剥皮
- 北部内蒙古の自然保護研究のための素描 (2) : 1996 年初夏の調査行からの考察
- 山梨県におけるイノシシ, サルによる農作物被害の実態と農家の意識
- O16) 島根県石見地方におけるニホンイノシシのミミズ利用量の季節的変化(口頭発表, 野生生物保護学会 2002 年大会大会報告 : 講演要旨)
- 東京都日の出町, あきる野市におけるニホンテンの食性の季節的変化
- 7) 東京都日の出町, あきる野市におけるニホンテンの食性の季節的変化(一般発表(ポスター), 野生生物保護学会第 5 回大会講演要旨)
- イノシシの増減判定手法としての「足跡カウント法」
- P32 農業の土地利用と鳥類群集(ポスター発表,講演要旨,野生生物保護学会2004年大会大会報告)
- C3 日本における自然保護区増設の必要性(口頭発表,講演要旨,野生生物保護学会2004年大会大会報告)
- P08)石川県白山麓地域における猿害対策事業への住民の評価と,そこからみえる住民意識(ポスター発表,講演要旨,野生生物保護学会2003年大会大会報告)
- O09)南伊豆における繁殖期の鳥類群集(口頭発表,講演要旨,野生生物保護学会2003年大会大会報告)
- O24)山西省黄土高原の自然回復 : 退耕還林還草事業視察報告(口頭発表, 野生生物保護学会 2002 年大会大会報告 : 講演要旨)
- 18) 日本のオオカミに関する誤解(一般発表(ポスター), 野生生物保護学会第 5 回大会講演要旨)
- シカ個体群の成長と森林への影響 : 栃木県日光の事例
- 北海道, 渡島大島におけるオオミズナギドリの漁民による捕獲とその背景
- P07)山梨県河口湖町におけるイノシシ道密度分布とその季節的変化(ポスター発表,講演要旨,野生生物保護学会2003年大会大会報告)
- O05)南伊豆・暗沢山一帯におけるイノシシ道密度及び聞き取りによるイノシシの増減判定(口頭発表,講演要旨,野生生物保護学会2003年大会大会報告)
- O04)山梨県河口湖町におけるニホンイノシシの食性(口頭発表,講演要旨,野生生物保護学会2003年大会大会報告)
- 山梨県における狩猟の現状とその問題点
- A18) 山梨県における狩猟の現状とその問題点について(口頭発表, 野生生物保護学会 2000 年大会大会報告 : プログラム)
- 日本農業の展望と中山間農業地域における野生動物の保護(公開シンポジウム, 野生生物保護学会 2000 年大会大会報告 : 講演要旨)
- 自然保護・再生・持続的開発:特に農林業展望--日本の土地利用区分と野生動物保護:森林生態系保護回復と自然保護区拡充の必要性について
- ポーランド南部ニェポロミツカの低地森林におけるノロジカ固体群への区画法の適用
- 伊豆半島南部における中・大型哺乳類の地理的分布の変遷
- P26 南伊豆地方の中大型哺乳類の分布域の変化(ポスター発表,講演要旨,野生生物保護学会2004年大会大会報告)
- 山西省黄土高原の自然回復 : 退耕還林還草事業視察報告
- 日本の森林生態系保護・林業再生・オオカミの役割 : 森林野生動物研究の課題
- 尾瀬のシカ問題に関する提案 : シカの個体群管理から自然生態系保護へ
- 北部内蒙古の自然保護研究のための素描 (4) : 巴日図 (バイント) 林場でのオオカミ調査
- 北部内蒙古の自然保護研究のための素描 (3) : 自然保護文化は草原の風に乗って?
- 集中豪雨によるキャンパーの水難を分析する : 自然/人間領域配分論から
- クマのスプレーと国歌・国旗の法定化の関係 : 自然/人間領域区分論から
- 都市の死角狩りを心配する!
- 北部内蒙古一帯におけるエコツアーの実験的試み : 草原生態系の保護と地域住民の生活の向上を目指して
- 野生生物保護学会第 3 回大会シンポジュウム「生態系の破壊と回復に向けて」に参加して : 自然-人間領域配分論からのコメント
- 生態系保護区の必要性
- 関東地方の鳥獣保護区の高度分布と面積
- 東京近郊の都市湖沼における水鳥群集と環境要因の関係
- 北部内蒙古の自然保護研究のための素描
- 多摩丘陵の落葉樹林における鳥類群集の 25 年間の比較
- P10)ラジオテレメトリー法によるニホンイノシシの行動解析の試み(ポスター発表,講演要旨,野生生物保護学会2003年大会大会報告)
- 農作物加害中・大型哺乳類追い上げ対策としてのボランティアによる追い上げ事業に対する地域農民と都市住民の反応
- 多摩川中流域におけるハクセキレイの越冬生態について〔英文〕
- 日光におけるニホンジカの越冬地拡大、個体群成長と地球温暖化との関係
- 第38回シンポジウム「オオカミ不在のエコロジー」についての主催者総括
- 獣害防止へオオカミ再導入急げ--日本オオカミ協会 丸山直樹会長(東京農工大学農学部教授)に聞く
- 日本の森林生態系の再生と保護:自然/人間領域区分論から (特別報告 自然保護活動の現状と課題)
- 日光のノイヌの糞内容
- 東京都府中市のアブラコウモリのねぐらとコロニーサイズ
- 三宅島における導入イタチに対する住民の意識
- 埼玉・栃木両県における狩猟の現状と狩猟者の意識
- 日本の野生生物保護に関する法制度の不備 : 絶滅種及び絶滅地域個体群復活のためには新しい法律が必要!
- タヌキの体脂肪蓄積指数
- Food Habits of Sika in Fudakake, Tanzawa Mountains
- 表日光に生息するシカの食性の季節性
- 青森県脇野沢村におけるニホンカモシカの直接観察にもとづく個体数推定
- 金華山島のシカへのテレメトリの適用
- 脇野沢村におけるニホンカモシカCapricornis crispusの生態
- シカの通路林の効果
- 栃木県表日光におけるツキノワグマのテレメトリ-追跡
- 関東地方におけるツキノワグマの分布--アンケ-ト・聞きとり調査による
- シカ捕獲オリの製作と使用