ウンシュウミカンの浮皮発生に及ぼすカルシウム混合剤の効果と同剤処理果実の表皮下細胞壁における微細構造的特性
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概要
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浮皮発生に及ぼすカルシウム混合剤の軽減効果について, ウンシュウミカンを供試して調査した.浮皮発生果における表皮下細胞壁の微細構造領域における変性とカルシウム剤による浮皮発生抑制について透過型電子顕微鏡を使用して詳細に観察した.浮皮果は処理や無処理区においても発生したが, CS-2H(CaSO_4・2H_2O, CaCl_2混合剤)やCS-1B(CaCO_3, その他混合剤)の収穫前散布は浮皮発生を明らかに減少させ, 両剤ともに果実品質には影響しなかった.無処理区において発生した浮皮果の表皮下組織では, かなり大型の細胞間隙が細胞角隅に, そして離生細胞間隙が隣接細胞壁に発生した.ときおりこれらの間隙のみられない細胞角隅や細胞壁が存在するが, それらの部位では細胞中層の崩壊が明確に認められた.細胞壁の崩壊は細胞間結合の緩みや細胞壁の膨潤を引き起こした.さらに細胞壁内の局所的な破壊が原形質膜に近い壁内でも観察された.膨潤した細胞壁内の繊維状の物質は原形質膜に近い部位では細胞壁に沿って引き離され, 細胞中層に近い部位では交差するように引き離されていた.ごくわずかではあるが, 細胞中層や中層にほぼ近い細胞壁内の繊維状物質は消失していた.対照として, CS-2Hカルシウム混合剤を葉面施用した区では浮皮果において認められたような微細構造の変性は全く見られなかった.とくに大型の細胞間隙は観察されず, 小型であった.さらに離生細胞間隙は発生せず, 細胞中層の溶解もかなり抑制されていた.細胞角隅は細胞中層で満たされており, 時として小型の細胞間隙が認められた.細胞壁内の繊維状物質は整然と配列し, 壁崩壊は観察されなかった.ときどき細胞壁の膨潤が見られたが, 浮皮果にくらべると少なく, 細胞分離も認められなかった.
- 園芸学会の論文
- 1999-09-15
著者
-
牧田 好高
静岡柑橘試
-
白石 雅也
愛媛大学農学部
-
白石 雅也
愛媛大農
-
牧田 好高
静岡県柑橘試験場
-
藤渕 正和
愛媛大農
-
Mohammad Pear
愛媛大学大学院連合農学研究科
-
藤渕 正和
愛媛大学農学部
-
真鍋 徹
愛媛大学農学部
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