冬季から夏季における樹勢の異なるウンシュウミカン樹での根内貯蔵デンプン粒の蓄積・利用と根の表層部発達に関する解剖学的観察
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概要
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冬から夏季に, ウンシュウミカンの樹勢の良好な樹と弱い樹を供試して根内貯蔵デンプン粒の蓄積・利用, さらに根の組織発達を観察した.12月における両樹のパイオニアルートでは皮層部にデンプン粒の集積がわずかに認められた.樹勢の良好な樹における根の皮層細胞内の貯蔵デンプン粒数と皮層部に占めるデンプン粒の面積は, 1月から2月にかけて増加し, 3月において最も多く, 大きくなった.その後4月から5月において皮層部のデンプン粒は徐々に減少し, 6月にはほとんど消失した.一方, 樹勢の弱い樹では皮層部に占める貯蔵デンプン粒は1月から3月までほぼ同じで, 3月になるとわずかに増え, 4月に最も多くなった.5月以降になると急激にデンプン粒の消費が認められ, 6月にはほぼ消失した.7月における両樹の根内では, デンプン粒は全く観察されなかった.樹勢の良好なひげ根内の貯蔵デンプン粒は4月に最も多く, 6月には全く消失した.一方, 樹勢の弱い樹ではデンプン粒は6月から消失を始め, 7月においては全く認められなかった.1月における樹勢の良好な樹のパイオニアルートでは, 表皮の直下に一層のコルク形成層が認められ, 3月にはコルク組織, コルク形成層やコルク皮層から構成される周皮が明確に観察された.樹勢の弱い樹では, 周皮形成は3月から始まったが, 4月になってもあまり増えなかった.根毛および表皮の発達は樹勢の良好な樹において早期から始まった.
- 1998-09-15
著者
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