春播性コムギと秋播性コムギとの交雑から得た中間型固定系統について
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概要
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コムギの春播性と秋播性との間の遺伝様式に関しては,従来から研究が行われているが,それらの論文では春播型と秋播型との2群に分けて遺伝様式を論じており,春播型と秋播型との間に存在する中間型については殆んど触れられていない。しかし,コムギの春播型と秋播型との間には,ぽぽ連続的に中間型が存在することが知られている。また最近,春播性品種と秋播性品種との交雑によって品種改良を行う大規模な計画が,米国オレゴン大学・CIMMYTの協力によって開始されている。従って,中間型についての遺伝的解明は実際の育種の推進上必要なことと考えられる。本論文では春播性品種ウシオコムギと秋播性品種Extra Early Blackhullとの交雑の後代について,中間型系統の固定を計ったところ,F_6世代になって,20℃,24時間照明下での播種から止葉展開まで日数が両親の日数の間に分布する15の異った固定系統を得ることができた。これらの系統についてF_8世代で8℃,24時間照明による低温処理について春化要求度の検定を行ったところ,得られた固定系統の春化要求度はIからVIまでの各段階に属することが分った。本実験によって,春化要求度Iの品種と春化要求度VIの品種の交雑後代には,春化要求度がIからVIまでの各段階に属する固定系統が出現する場合のあることが実験的に確かめられた。
- 日本育種学会の論文
- 1977-06-01
著者
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