東北地方における麦類品種の発育過程について
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概要
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東北地方に作付される大麦・小麦品種の冬期間における発育過程を明らかにしようとした。得られた結果は次のようである。 1)秋播性大麦では春化の終了は11月上旬から12月中旬であり,春化終了後まもなく幼穂形成を開始する。しかし,その後の幼穂発育は,関東育成はドリルムギを.除いては遅く,小穂段数の決定する時期は3月中旬となる。 2) 関東地方の春播性大麦では,越冬前に幼穂分化が進み,穎花分化期に達し,幼穂は凍死する。 3) 東北地方の春播性大麦は例外的たハヤチネムギを除げば幼穂形成はやや遅れ,穎花分化は融雪期以降となる。特に,細稈2号の幼穂形成は遅い。 4)東北地方の秋播性小麦品種では,春化終了は11月中旬から1月上旬に行なわれる。しかし,春化終了後も幼穂形成は開始せず,幼穂形成の開始は3月下旬の融雪期以降である。 5)東北地方では大麦の耐寒性は一般に小麦より劣るが,両者の幼穂発育の差がその一因と考えられる。耐寒性増大のためには,播性程度が高く,しかも幼穂形成の遅い品種を育成する必要がある。
- 日本育種学会の論文
- 1975-08-30
著者
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