コムギ品種の日長・温度に対する反応の品種間差異について
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概要
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西南暖地に適した早熟コムギ品種の育成上考慮すべき知見を得るために試験を行った。コムギの出穂促進に対して有効な日長を調べるため,16時間日長の最初の4時間,最後の4時間の照度を変えて調査を行った結果,薄明には101uxから,薄暮には201uxまで反応しうることが推定された。薄明・薄暮の時間的経過と照度との関係から,天候による変動はあるが,目長として有効た薄明は平均すると26分,薄暮は23分と考えられる。薄明・薄暮の長さは地球自転の周速度に反比例することから,各地におけるコムギに対する有効目長を得,全国におけるコムギ出穂2月前,1月前および出穂期の気温・目長を表に示した。関東以西における出穂2月前,1月前および出穂期のコムギに対する有効目長は12時間,13時間および14時間なので,20℃条件下で暖地コムギ品種のこれらの日長に対する反応を調査したところ,戸外における出穂は12時間日長との相関がもっとも高く,短日遅延度の小さいことが早生コムギとして重要な形質であることが確かめられた。更にユ2時間目長条件下で止葉展開に及ぼす温度の影響を調査した結果,10〜20℃の範囲内では低温になるほど枢早生系統と一般系統との差が拡大された。従って,短日遅延度が小さいことのほか,低温でも生殖生長の方へ進みうる性質が極早生コムギとして望ましい形質と考えられる。
- 日本育種学会の論文
- 1977-03-01
著者
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