コムギにおける春化要求度の品種間差に関する研究
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概要
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コムギ品種の播性は播種期試験における出穂反応によって分級されている。しかし,播性は春化要求度の大小によって決められるべきであるとの考えから品種の分級を試みた。その結果次のような分級法が得られた。すなわち,20℃連続照明で義成し,1葉展開後から30日以内に止葉が展開したものをI,31日以上34日以内で止葉が展開したものをII,35日以上60日以内に止葉展開に達したものをIIIと分級する。61日以上を要するものについては,1葉展開時から8℃連続照明下で春化処理を行い,低温処理30日で春化を終了すればIV,処理40月で春化終了すればV,処理55日で春化終了すればVI,60日以上の春化を要する場合をWと分級する。秋播性品種の日長に対する反応を検討したところ,東北地方の早熟品種では,短日遅延がほとんど認められないが,北海道品種は,14時間以下の日長になると止葉展開に達しなかった。短月遅延度と播性を比較した結果,従来の播種期移動による播性検定では,短日遅延度の小さた品種ほど播性が低く分級される傾向がみられた。コムギの胚は豊熟中に受けた低温によって春化され,成熟後の春化要求度が小さくなることがあるので,検定材料としては,豊熟条件も考慮する必要がある。
- 日本育種学会の論文
- 1976-12-01
著者
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