子房輪切り培養によるテッポウユリとスカシユリの種間雑種の作出
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概要
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ユリ属の種間交雑育種にあたり、遠縁種間交雑を行った場合、花粉管の伸長停止や胚の発育停止などを生じ、雑種個体が得難いため、諸種の工夫が行なわれてきた。成功例の一つとして花柱を切断して授粉し、更に胚培養を併用し、雑種個体の得られたという報告がある。しかし、胚培養を行うには胚を取り出す技術的問題があり、0.5mm以下の胚ではほとんど不可能とされている。そこで筆者らは前報(HAYASHI et al.1986)の子房輪切り培養法を適用し、テッポウユリとスカシユリの雑種作出を試みた。すなわち、テッポウユリのジョージアとスカシユリの角田の光、清津黄スカシ、スターリングスター、およびエンチャントメソトの4品種を用い、花柱を切断し授粉した後40日目の子房(平均0.4mmの胚を含む)を厚さ約2mmに輪切りとし、修正MS培地(pH 6.3、ショ糖 8%)で、25℃連続照明下で培養を行った。その結果、置床約30〜150日にかけていずれの交配組合せにおいても発育した種子の発芽がみられ、その数は41の子房切片より合計92で、切片あたり約2.2であった。発芽したものの中には、多肉化した子葉のものやカルス状となるなどの異常が認められたが、White培地に植え替えたところこれらからも正常な個体が得られた。さらに得られたすべての組合せ個体につき染色体を観察し、染色体の形状より種間雑種であることが確認できた。
- 1988-09-01
著者
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